明らかに不安定なスタート。コウは聞かずにはいられない。
「ダオス王、貴方は本当は争いが起こることがわかってたんじゃ…………」
国を纏め、神の世界である天上界へと住むのを許されたダオス王だ。
それだけの事態を予測しなかったわけがない。
「そうだね。わかっていた…………君は自分が正しいと思うかい?」
「え…………」
「ゴーマの侵略を阻止し、人々を守るのが正義と思うのかい?」
当然だ、とコウは頷く。
「その正しさはゴーマの非道さと相対的なんだ。人はは、他者の存在を以て、はじめて肯定される」
ダオス王は再び映像を切り替える。人々が議論している映像。
「私は期待したのだ。敢えて対極であるゴーマを生み、時には争っても、その中で進歩していくと」
″した″。つまり、それはそうではなかったという。
今度の映像は具体的なものに変化した。ダイレンジャーと戦う、何者かのもの。
「これは…………」
「ゴーマ法王…………いや、今は皇帝ゴーマ一世というべきか」
「初代のゴーマ皇帝?じゃあ、あのダイレンジャーは…………」
人数と武器、間違いない。これは亮達ダイレンジャーとキッズだ。
記憶ではなく、現実に起きている戦いである。
「上海2000万人超の命とバキの力を吸収し、現世に復活したようだ」
自分の力が利用されて、大切な人を傷つけている。なんという歯痒さ。
だが、今の自分は死も同然………………。何もすることはできない。
「僕を生き返らせるなら、早くして…………みんなが!!」
「彼らはまだ大丈夫だ。本来の歴史より遥かに強いからね」
何を言っているのだ?。本来の歴史とは、いったい…………。
「さあ、続きだ」
映像を再び記憶のものに変える。コウはダオス王の考えを汲み取れた気がした。
彼が今まで話していた事は、前章でしかないのだと。
ダオス王が去り、ダイ族とゴーマはすぐに対立した。
従来のように国の覇権を握りたいダイ族、自分達の地位を優位にしたいゴーマ。
そして、法王に封されたゴーマ一世は、自らが国を覇を以て支配しようと″ゴーマ皇帝″と名乗った。
そのまま初代ゴーマはダイ族に挑んだのだった。戦況は膠着していたが、初代ゴーマは打開すべく地獄へと赴いたという。
「初代ゴーマが戦いを!?」
「この事はあまり語り継がれていない…………」
どうやら、何か理由がありそうだ。それには、先程の映像の最後にあった場所が関係しているのかもしれない。
「地獄…………」
「そうだ。地獄の霊力とある物を得て、初代ゴーマは私をも上回る力を得ようとしたようだね」
「ある物?」
ダオス王は小さいオーロラを出す。そこには、体が太い物体が映し出されている。
「これはイカヅチ。初代ゴーマ打倒のために結成された大連者と、初代の息子でありながら味方したゴーマ2世が開発した機械人形だ」
コイツの事は知らないが、覚えがある。阿古丸が操っていたヤツだろう。
バキになっていた時に戦かった感覚を僅かながら気力が記憶している。
「このイカヅチには、霊力以上に厄介なものが積まれていてね…………」
阿古丸は不甲斐なさに悩まされながらも、雛やダイレンジャー達が気掛かりで戻ってきてしまった。
この甘さが結局、自分を失敗させているのに。いや、もう自分は終わってるようなものだ。
どうなろうと、どうでもいい。だが、雛には何か謝らなくてはならない。
「…………!?」
海岸に辿り着く阿古丸。そこには、初代ゴーマがダイレンジャーや雛達を圧倒している場面があった。
「初代ゴーマ!?」
「?。阿古丸…………我が血を受け継いだ系譜の申し子…………」
2人は顔を見知っていた。それもそのはず、阿古丸にマーラチェンジャーを与えたのは初代ゴーマなのだから。
「なぜ、あなたが地獄から…………」
「お前と同じだ。余は、かつて成せなかった大望を果たさんが為に甦ったのだよ。バキの力を引き出したお前には感謝している」
ハッ、とした。離れた場所で、コウがアヤに抱えられている。
阿古丸はなぜ地獄で初代ゴーマにマーラチェンジャーを渡されたのかを悟る。
アヤが泣いている。阿古丸は心が傷んだ。自分のせいで、こんな事に…………。
「く………………」
自分は結局利用されただけ。
「初代ゴーマ…………私は…………」
それでも意地がある。
悲しませた母、苦しませた弟。
償わなければならない。既に無い命というならば、せめて自分の罪を購うことしかない。
「私は…………あなたを………………」
それは贖罪。重ねてきた罪を、その小さな躰で償う決意である。
″キィィィィンッ!!″
「!?」
イカヅチの残骸が光り出す。微かに眼が動いている。
「何なんだ…………イカヅチ…………」
何かを伝えようとしている。だんだん残骸は光を1ヶ所へと集まり出した。
すると、光は形を成していく。突起物…………剣だ。
光が晴れ、その剣は姿を現す。
黒い柄に金色の糸が交差する装飾、同様の鞘に収まった剣が阿古丸の眼前へと来たのであった。
「…………この…………剣は…………」
阿古丸がその剣を手にした瞬間、イカヅチは灰のように崩れ去った。
役目を終えたように。その眼は安らかに、阿古丸を映しながら、同じく灰に変わってしまう。
「イカヅチ…………。いったい…………」
「魔剣・倶利伽羅だ」
初代ゴーマはその剣の名前を口にした。
「倶利伽羅は不動明王が持つという退魔の剣。しかし、初代龍連者・諸葛亮が余を討つ際にあるモノを封じ、魔剣という側面を持った矛盾を孕む剣よ」
よもやこんな場所にあるとは、といった反応だ。
いつになく、初代ゴーマはこの剣を畏れているように思える。
「この剣には何が…………」
「地獄の力を引き出すという、″地獄の鍵″…………余が手にいれる寸前だったのを、諸葛亮が封印をしたために…………」
「ダオス王、貴方は本当は争いが起こることがわかってたんじゃ…………」
国を纏め、神の世界である天上界へと住むのを許されたダオス王だ。
それだけの事態を予測しなかったわけがない。
「そうだね。わかっていた…………君は自分が正しいと思うかい?」
「え…………」
「ゴーマの侵略を阻止し、人々を守るのが正義と思うのかい?」
当然だ、とコウは頷く。
「その正しさはゴーマの非道さと相対的なんだ。人はは、他者の存在を以て、はじめて肯定される」
ダオス王は再び映像を切り替える。人々が議論している映像。
「私は期待したのだ。敢えて対極であるゴーマを生み、時には争っても、その中で進歩していくと」
″した″。つまり、それはそうではなかったという。
今度の映像は具体的なものに変化した。ダイレンジャーと戦う、何者かのもの。
「これは…………」
「ゴーマ法王…………いや、今は皇帝ゴーマ一世というべきか」
「初代のゴーマ皇帝?じゃあ、あのダイレンジャーは…………」
人数と武器、間違いない。これは亮達ダイレンジャーとキッズだ。
記憶ではなく、現実に起きている戦いである。
「上海2000万人超の命とバキの力を吸収し、現世に復活したようだ」
自分の力が利用されて、大切な人を傷つけている。なんという歯痒さ。
だが、今の自分は死も同然………………。何もすることはできない。
「僕を生き返らせるなら、早くして…………みんなが!!」
「彼らはまだ大丈夫だ。本来の歴史より遥かに強いからね」
何を言っているのだ?。本来の歴史とは、いったい…………。
「さあ、続きだ」
映像を再び記憶のものに変える。コウはダオス王の考えを汲み取れた気がした。
彼が今まで話していた事は、前章でしかないのだと。
ダオス王が去り、ダイ族とゴーマはすぐに対立した。
従来のように国の覇権を握りたいダイ族、自分達の地位を優位にしたいゴーマ。
そして、法王に封されたゴーマ一世は、自らが国を覇を以て支配しようと″ゴーマ皇帝″と名乗った。
そのまま初代ゴーマはダイ族に挑んだのだった。戦況は膠着していたが、初代ゴーマは打開すべく地獄へと赴いたという。
「初代ゴーマが戦いを!?」
「この事はあまり語り継がれていない…………」
どうやら、何か理由がありそうだ。それには、先程の映像の最後にあった場所が関係しているのかもしれない。
「地獄…………」
「そうだ。地獄の霊力とある物を得て、初代ゴーマは私をも上回る力を得ようとしたようだね」
「ある物?」
ダオス王は小さいオーロラを出す。そこには、体が太い物体が映し出されている。
「これはイカヅチ。初代ゴーマ打倒のために結成された大連者と、初代の息子でありながら味方したゴーマ2世が開発した機械人形だ」
コイツの事は知らないが、覚えがある。阿古丸が操っていたヤツだろう。
バキになっていた時に戦かった感覚を僅かながら気力が記憶している。
「このイカヅチには、霊力以上に厄介なものが積まれていてね…………」
阿古丸は不甲斐なさに悩まされながらも、雛やダイレンジャー達が気掛かりで戻ってきてしまった。
この甘さが結局、自分を失敗させているのに。いや、もう自分は終わってるようなものだ。
どうなろうと、どうでもいい。だが、雛には何か謝らなくてはならない。
「…………!?」
海岸に辿り着く阿古丸。そこには、初代ゴーマがダイレンジャーや雛達を圧倒している場面があった。
「初代ゴーマ!?」
「?。阿古丸…………我が血を受け継いだ系譜の申し子…………」
2人は顔を見知っていた。それもそのはず、阿古丸にマーラチェンジャーを与えたのは初代ゴーマなのだから。
「なぜ、あなたが地獄から…………」
「お前と同じだ。余は、かつて成せなかった大望を果たさんが為に甦ったのだよ。バキの力を引き出したお前には感謝している」
ハッ、とした。離れた場所で、コウがアヤに抱えられている。
阿古丸はなぜ地獄で初代ゴーマにマーラチェンジャーを渡されたのかを悟る。
アヤが泣いている。阿古丸は心が傷んだ。自分のせいで、こんな事に…………。
「く………………」
自分は結局利用されただけ。
「初代ゴーマ…………私は…………」
それでも意地がある。
悲しませた母、苦しませた弟。
償わなければならない。既に無い命というならば、せめて自分の罪を購うことしかない。
「私は…………あなたを………………」
それは贖罪。重ねてきた罪を、その小さな躰で償う決意である。
″キィィィィンッ!!″
「!?」
イカヅチの残骸が光り出す。微かに眼が動いている。
「何なんだ…………イカヅチ…………」
何かを伝えようとしている。だんだん残骸は光を1ヶ所へと集まり出した。
すると、光は形を成していく。突起物…………剣だ。
光が晴れ、その剣は姿を現す。
黒い柄に金色の糸が交差する装飾、同様の鞘に収まった剣が阿古丸の眼前へと来たのであった。
「…………この…………剣は…………」
阿古丸がその剣を手にした瞬間、イカヅチは灰のように崩れ去った。
役目を終えたように。その眼は安らかに、阿古丸を映しながら、同じく灰に変わってしまう。
「イカヅチ…………。いったい…………」
「魔剣・倶利伽羅だ」
初代ゴーマはその剣の名前を口にした。
「倶利伽羅は不動明王が持つという退魔の剣。しかし、初代龍連者・諸葛亮が余を討つ際にあるモノを封じ、魔剣という側面を持った矛盾を孕む剣よ」
よもやこんな場所にあるとは、といった反応だ。
いつになく、初代ゴーマはこの剣を畏れているように思える。
「この剣には何が…………」
「地獄の力を引き出すという、″地獄の鍵″…………余が手にいれる寸前だったのを、諸葛亮が封印をしたために…………」