「由貴よ、我らに降れ。阿古丸様は決してお前達を悪いようにはせぬ」
思いもがけない降伏勧告。かんざし女雛はまだ口を動かすのを止めなかった。
「阿古丸様はコウをゴーマにしたら、シャダム達を失脚させた後に、新たなゴーマ皇帝になられる」
「新しい皇帝?」
「そうだ。地球を支配しても、虐殺などしない。もう二度と戦わないため、恒久和平を実現させるために戦っておられる」
ゴーマとしての血を憎む阿古丸。彼は逆に血による強大なパワーを、あらゆる力への抑止力にしようと考えている。
世界中のあらゆる軍隊・武装勢力を屈服させ、ゴーマ一強を実現させる。
そうすれば、2度と戦いは起こらない。人が武器を持つ事すらなくなる。
「阿古丸様の理想に手を貸せ!」
「…………」
悪い話とは思わない。学校の授業やニュース等で知るだけでも、人類は戦いを一切やめない。
血を流し、涙を渇かせ、命を奪う。何百、何千年と繰り返されてきた。
今のゴーマが勝っても虐殺の時代。ダイレンジャーが勝っても、現状維持がせいぜい。もし、それが止まるなら。
「そこには、コウ君がいない…………」
しかし、ホウオウレンジャーは青龍月刀の構えをやめない。
「あたしが………あたし達が守ってきた世界は、みんながいる世界だから」
家族や友達、愛する人……全部を守りたい。ダイレンジャーキッズの戦ってきた理由は変わらない。
ホウオウレンジャーは青龍月刀を左の人指し指と中指を使って刀身をなぞる。
指が通過した場所が水色に光り、再び構えた。
「…………お前は本当に子供じゃの。ならば…………ここで散れ!」
かんざし女雛は簪を上空へ放り投げる。すると、ホウオウレンジャーの周りに何かが浮遊しはじめた。
桃よりも薄いピンク…………桜色のものだ。いや、むしろ桜の花びらそのものが漂っている。
「″桜の舞″」
かんざし女雛がそう口にすると、簪が桜の花びらに混じって浮きはじめた。
それも1本や2本ではない。1000は超えるであろう、壮大な数だ。
「…………これは…………」
クジャクレンジャーの奥義・″孔雀明王扇″と同系統の技だ、と即座に判断できた。
同時にホウオウレンジャーは一時も気が休まる瞬間が無くなった。
全方位かつオールレンジ攻撃が可能な事がわかり、回避どころか防御すら困難であることを悟ってしまう。
「これにて終舞(しま)いじゃ。″桜吹雪″!! 」
数多の簪がホウオウレンジャー目掛けて飛び交う。余りに膨大な数で、軌道を読みきれないが、止まったら敗けだとわかる。
とにかく逃げる。先程までいた場所に簪が流れ込み、穴を開けている。
逃げれはしない。ならば、相手より先に相手を斬るしかない。
「鳴水星…………」
「させぬわ!」
かんざし女雛が手をホウオウレンジャーに向けると、再びホウオウレンジャーに向かう。
″翔竜″により逆転を狙う気だろうが、それをさせる気はない。
居合い斬りに見立て、水鞘を奔流に変えて逆噴射させ、その勢いで神速の一撃を生み出す。それが″翔竜″だ。
だが、大弱点は溜めが必要であること。いくら強い技でも、発動できなければ意味がないのだ。
「く…………ハッ!?」
しまった。地面の溝に足が入り、体勢を崩してしまう。
その瞬間、簪がまさに桜吹雪の如く、ホウオウレンジャーを包んだのだった。
アヤと鳳凰連者のピンチ。そこへ白虎真剣が自ら動き、向かっていった。
「でやあぁぁぁぁァッ!」
「!?」
″シュッ!!″
シャダムは顔に痛みを感じ、思わず後退りした。その先には白虎真剣が突き刺さっている。
「今だリン、おっかさんを!」
白虎真剣に言われ、鳳凰連者はアヤの前面に立った。気力を集中し、まだ怯むシャダムを向く。
「天風星・″一文字竜巻″!!」
周囲の気力を風として放ち、相手を翻弄させる技。シャダムは″一文字竜巻″を受け、その気流に巻き込まれてしまう。
「ぐ、グゥゥォォッ!」
竜巻に飲まれ、シャダムは吹き飛ばされてしまう。その内に鳳凰連者は立て直し、槍鳳凰・雅を構えてアヤの前に立った。
「お母さんにもう手出しはさせないわ!」
イカヅチは妖力波を放ち続ける。無尽蔵かと思える程に絶え間無い攻撃を続けられ、龍連者と天馬連者は近づくことすら出来ない。
「ち…………どうすりゃいいってんだよ!」
ダイバスターを発射しても、妖力波と相殺されてしまう。
「将児、鳥かご風来坊を倒した時の技行くぞ!」
あの黄金キックを破った技。あれなら、強固な装甲を持つイカヅチにダメージを与えれるはずだ。
思いもがけない降伏勧告。かんざし女雛はまだ口を動かすのを止めなかった。
「阿古丸様はコウをゴーマにしたら、シャダム達を失脚させた後に、新たなゴーマ皇帝になられる」
「新しい皇帝?」
「そうだ。地球を支配しても、虐殺などしない。もう二度と戦わないため、恒久和平を実現させるために戦っておられる」
ゴーマとしての血を憎む阿古丸。彼は逆に血による強大なパワーを、あらゆる力への抑止力にしようと考えている。
世界中のあらゆる軍隊・武装勢力を屈服させ、ゴーマ一強を実現させる。
そうすれば、2度と戦いは起こらない。人が武器を持つ事すらなくなる。
「阿古丸様の理想に手を貸せ!」
「…………」
悪い話とは思わない。学校の授業やニュース等で知るだけでも、人類は戦いを一切やめない。
血を流し、涙を渇かせ、命を奪う。何百、何千年と繰り返されてきた。
今のゴーマが勝っても虐殺の時代。ダイレンジャーが勝っても、現状維持がせいぜい。もし、それが止まるなら。
「そこには、コウ君がいない…………」
しかし、ホウオウレンジャーは青龍月刀の構えをやめない。
「あたしが………あたし達が守ってきた世界は、みんながいる世界だから」
家族や友達、愛する人……全部を守りたい。ダイレンジャーキッズの戦ってきた理由は変わらない。
ホウオウレンジャーは青龍月刀を左の人指し指と中指を使って刀身をなぞる。
指が通過した場所が水色に光り、再び構えた。
「…………お前は本当に子供じゃの。ならば…………ここで散れ!」
かんざし女雛は簪を上空へ放り投げる。すると、ホウオウレンジャーの周りに何かが浮遊しはじめた。
桃よりも薄いピンク…………桜色のものだ。いや、むしろ桜の花びらそのものが漂っている。
「″桜の舞″」
かんざし女雛がそう口にすると、簪が桜の花びらに混じって浮きはじめた。
それも1本や2本ではない。1000は超えるであろう、壮大な数だ。
「…………これは…………」
クジャクレンジャーの奥義・″孔雀明王扇″と同系統の技だ、と即座に判断できた。
同時にホウオウレンジャーは一時も気が休まる瞬間が無くなった。
全方位かつオールレンジ攻撃が可能な事がわかり、回避どころか防御すら困難であることを悟ってしまう。
「これにて終舞(しま)いじゃ。″桜吹雪″!! 」
数多の簪がホウオウレンジャー目掛けて飛び交う。余りに膨大な数で、軌道を読みきれないが、止まったら敗けだとわかる。
とにかく逃げる。先程までいた場所に簪が流れ込み、穴を開けている。
逃げれはしない。ならば、相手より先に相手を斬るしかない。
「鳴水星…………」
「させぬわ!」
かんざし女雛が手をホウオウレンジャーに向けると、再びホウオウレンジャーに向かう。
″翔竜″により逆転を狙う気だろうが、それをさせる気はない。
居合い斬りに見立て、水鞘を奔流に変えて逆噴射させ、その勢いで神速の一撃を生み出す。それが″翔竜″だ。
だが、大弱点は溜めが必要であること。いくら強い技でも、発動できなければ意味がないのだ。
「く…………ハッ!?」
しまった。地面の溝に足が入り、体勢を崩してしまう。
その瞬間、簪がまさに桜吹雪の如く、ホウオウレンジャーを包んだのだった。
アヤと鳳凰連者のピンチ。そこへ白虎真剣が自ら動き、向かっていった。
「でやあぁぁぁぁァッ!」
「!?」
″シュッ!!″
シャダムは顔に痛みを感じ、思わず後退りした。その先には白虎真剣が突き刺さっている。
「今だリン、おっかさんを!」
白虎真剣に言われ、鳳凰連者はアヤの前面に立った。気力を集中し、まだ怯むシャダムを向く。
「天風星・″一文字竜巻″!!」
周囲の気力を風として放ち、相手を翻弄させる技。シャダムは″一文字竜巻″を受け、その気流に巻き込まれてしまう。
「ぐ、グゥゥォォッ!」
竜巻に飲まれ、シャダムは吹き飛ばされてしまう。その内に鳳凰連者は立て直し、槍鳳凰・雅を構えてアヤの前に立った。
「お母さんにもう手出しはさせないわ!」
イカヅチは妖力波を放ち続ける。無尽蔵かと思える程に絶え間無い攻撃を続けられ、龍連者と天馬連者は近づくことすら出来ない。
「ち…………どうすりゃいいってんだよ!」
ダイバスターを発射しても、妖力波と相殺されてしまう。
「将児、鳥かご風来坊を倒した時の技行くぞ!」
あの黄金キックを破った技。あれなら、強固な装甲を持つイカヅチにダメージを与えれるはずだ。