ゴーマ皇帝は皇族世襲ではあるが、複数人の皇位継承権を有する者がいれば実力が高い者が就く。
当代皇帝であるゴーマ15世は、先代14世の弟にあたる。シャダムは14世の妾の子であり、本来は素直に継承できる。
しかし、田豊将軍は権力闘争においてシャダムより有利に立ちたいがため、家督を養子である阿古丸に譲った。
これにより、形式的には別家の家長である阿古丸はシャダムと同じ皇位継承権を有しているのだ。
「私は第3皇位継承権を有した。今回のが成功すれば、私は功績を認められ、父上達を失脚させた上でゴーマ皇帝になれるというわけです」
「何!?」
「仮に″皇位継承決定戦″になったとしても、ナーガレンジャーに転身できる私の有利に変わりはない。父上が、私に膝まづいて赦しを請わなければならなくなる…………ハハハハッ!」
そう言うと、阿古丸は雛と共に消えた。残されたザイドスは拳を震わせながら、シャダムを向いた。
「シャダム!自分の息子に笑われてるぞ!。大神龍のことだってある…………我々は本当に失脚してしまうぞ!!」
慌てるザイドス。それとは裏腹にガラは落ち着いていた。いや、無関心だった。
先日、クジャクが死んだ。自分を助け、地球の業を背負いながら滅んでいった。
あれだけ憎んでいたのにもかかわらず、傷を消して命を助けたクジャクへの怨みは無くしてしまった。
自分がゴーマにいる理由は既にない。しかし、どうも附に落ちない程に、ゴーマへの忠誠心が揺らいでいない。
「ガラ、お前も何とか言え!」
「!?。あ、ああ…………。阿古丸はゴーマ15世が地獄から甦らせた程可愛かってるわ。無闇に邪魔すると、かえって………」
「心配するな。俺には切り札がある」
余裕の表情を示すシャダム。ニヤリとし、視線を銀の球体へと向ける。
「ゴーマを説き伏せ、コウの母親を俺が殺す。邪魔立てすれば阿古丸も…………」
ガラはシャダムに対し、疑念を抱かざるを得ない。ゴーマにおいて情は必要ないのかもしれない。
だが、息子である阿古丸に、どうしてそこまで愛情をかけないのだろうか。
シャダム達の場より去った阿古丸達は、アヤを監禁している″ある場所″へと移動した。
そこではコットポトロを張り巡らせ、侵入者を拒んでいる。
「阿古丸様…………あの………」
雛に話しかけられ、振り向くと下を向いている。物言いたそうなのはわかるが、どうもしっくりこない。
「何だ…………何か言いたそうだな」
「………シャダム中佐にああまで言って、よろしかったのですか?」
雛は父母を失った。親がいない寂しさをよく知っている。
そのせいか、幾ら捨てられたとはいっても、阿古丸がそこまでシャダムを憎む理由がわからないでいた。
いや、理由というよりは衝動と言うべきだろう。阿古丸は肩の荷を下ろすことなく、ずっとシャダムへの憎悪を抱き続けている。
「…………初めて父上に会ったは4つの時だった。殴れた上に、″これが俺の息子か″という台詞だけだ。その時思ったよ、いつか復讐してやるとね」
遠くを見つめるような阿古丸。それを見て、雛はその本質がわかった。
同じ境遇にあるはずのコウは母親を憎むことなく、今だに信じ続けている。
その事が、余計に苛立たせる。だから、コウとアヤの絆を断ち切りたいのだろう。
例え、それがどんな手段であったとしても。
″天上の間″。ゴーマ15世は毛糸のセーターを編んでいた。
明後日はクリスマスイブだ。阿古丸へのプレゼントを手作りでしようというのだ。
「温かいセーターを編んであげるからね~。ん!?」
背後に気配。ゴーマ15世は3つの眼、全てでその正体を見る。
「シャダム!?」
背後に立つシャダム。しかし、謁見するための面を着けることなく、そのままの姿で現れている。
「無礼な…………下がれ!」
怒る15世とは裏腹にニヤリとシャダムは笑う。あまりに不適な笑みの意味を、知る術はない。ただ、今は…………。
当代皇帝であるゴーマ15世は、先代14世の弟にあたる。シャダムは14世の妾の子であり、本来は素直に継承できる。
しかし、田豊将軍は権力闘争においてシャダムより有利に立ちたいがため、家督を養子である阿古丸に譲った。
これにより、形式的には別家の家長である阿古丸はシャダムと同じ皇位継承権を有しているのだ。
「私は第3皇位継承権を有した。今回のが成功すれば、私は功績を認められ、父上達を失脚させた上でゴーマ皇帝になれるというわけです」
「何!?」
「仮に″皇位継承決定戦″になったとしても、ナーガレンジャーに転身できる私の有利に変わりはない。父上が、私に膝まづいて赦しを請わなければならなくなる…………ハハハハッ!」
そう言うと、阿古丸は雛と共に消えた。残されたザイドスは拳を震わせながら、シャダムを向いた。
「シャダム!自分の息子に笑われてるぞ!。大神龍のことだってある…………我々は本当に失脚してしまうぞ!!」
慌てるザイドス。それとは裏腹にガラは落ち着いていた。いや、無関心だった。
先日、クジャクが死んだ。自分を助け、地球の業を背負いながら滅んでいった。
あれだけ憎んでいたのにもかかわらず、傷を消して命を助けたクジャクへの怨みは無くしてしまった。
自分がゴーマにいる理由は既にない。しかし、どうも附に落ちない程に、ゴーマへの忠誠心が揺らいでいない。
「ガラ、お前も何とか言え!」
「!?。あ、ああ…………。阿古丸はゴーマ15世が地獄から甦らせた程可愛かってるわ。無闇に邪魔すると、かえって………」
「心配するな。俺には切り札がある」
余裕の表情を示すシャダム。ニヤリとし、視線を銀の球体へと向ける。
「ゴーマを説き伏せ、コウの母親を俺が殺す。邪魔立てすれば阿古丸も…………」
ガラはシャダムに対し、疑念を抱かざるを得ない。ゴーマにおいて情は必要ないのかもしれない。
だが、息子である阿古丸に、どうしてそこまで愛情をかけないのだろうか。
シャダム達の場より去った阿古丸達は、アヤを監禁している″ある場所″へと移動した。
そこではコットポトロを張り巡らせ、侵入者を拒んでいる。
「阿古丸様…………あの………」
雛に話しかけられ、振り向くと下を向いている。物言いたそうなのはわかるが、どうもしっくりこない。
「何だ…………何か言いたそうだな」
「………シャダム中佐にああまで言って、よろしかったのですか?」
雛は父母を失った。親がいない寂しさをよく知っている。
そのせいか、幾ら捨てられたとはいっても、阿古丸がそこまでシャダムを憎む理由がわからないでいた。
いや、理由というよりは衝動と言うべきだろう。阿古丸は肩の荷を下ろすことなく、ずっとシャダムへの憎悪を抱き続けている。
「…………初めて父上に会ったは4つの時だった。殴れた上に、″これが俺の息子か″という台詞だけだ。その時思ったよ、いつか復讐してやるとね」
遠くを見つめるような阿古丸。それを見て、雛はその本質がわかった。
同じ境遇にあるはずのコウは母親を憎むことなく、今だに信じ続けている。
その事が、余計に苛立たせる。だから、コウとアヤの絆を断ち切りたいのだろう。
例え、それがどんな手段であったとしても。
″天上の間″。ゴーマ15世は毛糸のセーターを編んでいた。
明後日はクリスマスイブだ。阿古丸へのプレゼントを手作りでしようというのだ。
「温かいセーターを編んであげるからね~。ん!?」
背後に気配。ゴーマ15世は3つの眼、全てでその正体を見る。
「シャダム!?」
背後に立つシャダム。しかし、謁見するための面を着けることなく、そのままの姿で現れている。
「無礼な…………下がれ!」
怒る15世とは裏腹にニヤリとシャダムは笑う。あまりに不適な笑みの意味を、知る術はない。ただ、今は…………。