由貴と健一はランドセルを放り投げる。オーラチェンジャーを出し、身構えた。


「それで良い…………妾も怪人態を披露しようぞ」



『気力転身!!』



2人が転身し、雛も躰が変化していく。白の衣に似た胸当てと、胸から下は朱い体色へとなった。
それはまるで、彼女の姉である三人官女と同じであった。


「妾は姉様達と同じ境地に辿り着いた。阿古丸様を御守りするため、ダイレンジャーを討つ!!」


腰に備えてある簪を引き抜き、クルクルと回す。すると、巨大な簪型の剣へと変化した。
ホウオウレンジャーは戦いを避けれない事を悟る。かんざし女雛がいて、阿古丸の名を言うという意味はわかる。
雅之の話にあった男の子は、間違いなく阿古丸だ。


「雅之達を巻き込めない。雛ちゃん、場所を変えさせてもらうよ」


「!?」


雛は今、自身が墓穴を掘った事に気づいた。テンマレンジャー達が裏側の神社に阿古丸がいるとわかったのだろう。


『ハッ!!』


「ま、待て!」


ホウオウレンジャーとテンマレンジャーはジャンプを連続して、神社へと辿り着いた。
そこには青い化け物と戦う鳳凰連者と、阿古丸の姿があった。


「阿古丸!」


「!?。来たか………邪魔はさせん!!」


阿古丸は自身の腕のナーガブレス、ナーガギャザーを露にする。


「妖力転身!マーラチェンジャー!!」



黒いボディスーツに金色の鎧、まるでキバレンジャーとは対となるナーガレンジャーへと転身した阿古丸。
武器である″蛇奉刺又″を影から取りだし、迎え撃つ。


「俺が阿古丸とやる!。由貴ちゃんはみんなに連絡して、リン姉ちゃんを助けるんだ!」



「うん!」


ホウオウレンジャーは通信で応援を要請しつつ、青龍月刀を抜いてイカヅチに斬りかかった。


「ハァッ!」


イカヅチから刀の軌跡を火花が散らす。そのまま振り向き、爪を向けるもホウオウレンジャーは跳びあがって背後に回る。
反対にいる鳳凰連者とあうんの呼吸で気を練り合わせた。


「天風星・″竜巻落とし!!″」


「鳴水星・″水天逆巻斬り!!″」




風と水の竜巻が発生する。イカヅチの真上でそれが合わさり、直上から落ちてくる。
それが直撃したが、イカヅチはものともせず仁王立ちが如くピンピンしている。



「由貴ちゃん、コイツは防御力が凄いアル!」



「同時攻撃で一点にすれば…………」



想定以上の防御力。斃すにはあの分厚い装甲を打ち破らなければならない。