社から出てきた阿古丸は、少年達を見る。聞かれた、のだろう。
あの少年達の顔、香澄としてコウのクラスに潜入した時に見た面々だ。


「マズい……健一達に知らされるか…………追え、イカヅチ!!」


捕獲するために化け物・イカヅチで少年達を追撃させる。既にかなりの距離が空いているが、イカヅチは自らにオーラを纏い、一気に飛んでいく。
そうとも知らず、雅之は必死に走る。途中で啓太達とはぐれてしまったが、無事なんだろうか。


「はぁ…………はぁ…………」


ここを抜ければ、道に出れる。健一達にこの事を伝えなければ…………。






″キキィッ!″










「うわッ!」






道に出れた。その途端、目の前に自転車が飛び出してきて(正確には逆だが)、ぶつかりそうになった。
それを止めてギリギリで回避し、雅之はへたっと座り込んでしまう。


「大丈夫アルか!?」


自転車に乗っていた女性が駆け寄る。雅之はハッとした。その女性は、コウの姉(これまた正確ではないが)であるリンであった。


「君はコウの友達の………」


「お姉さん!大変…………この先の神社で女の人が捕まってて…………」



何を言ってるか、雅之自身もわかっていないのだろう。伝えなければならないことだけを、伝えれば…………。


「それでコウが、ゴーマになっちゃうとか…………」


「!!?」


リンが驚く。雅之の話を聞くに、間違いなくコウのゴーマ化に関連してるだろう。
そうわかった瞬間、森の中から青い閃光が飛び出してきた。


「伏せて!」


リンは自転車を倒し、雅之を庇うように伏せこむ。同時に自転車が真っ二つに割れてしまう。
リンはキッと睨むと、そこには先程の化け物・イカヅチが立っていた。


「雅之君、逃げるアル!」


「でも、他のみんなが………」






″ガサッ……″





『!!?』



木々が揺れ、そこから少年達がフラフラと現れる。目がトロンとなっているが、全員無事である。


「お前ら、大丈夫か!?」


コクン、と頷く啓大達。急いで連れ、雅之達は逃げていった。