次の日、学校に来た健一はややがっかりしていた。その横に、澪が登校してくる。


「おはよう」


「………………おはよう」


澪はランドセルを置くと、席に着く。


「3バカ………………残念だったわ」


「君は何か…………わかったかい?」


「………………いえ」


真剣勝負というものから、何か得れると思ったが、そうではなかった。
3バカも散り、ザイドスの罠で滅茶苦茶で、何があるかわからなかった。


「でも、知りたくなったわ。人間を………………」


熱くなれる。それだけは伝わった。なぜ熱くなれるか、なぜ敵である3バカが死んだのに泣いたのかが不思議だ。それを知りたい。


「じゃあ、まずは友達作りからだね」


「そうね」


そう言うと、席を立ち、女子の談笑に混ざる澪。キッカケなんて、どこにでもあるのだ。
3バカもだが、健一には不可解だった。由貴と町子はなぜ駆けつけなかったか。
今日は普通にいるが、あの後何があったのだろうか?。























バイトを終え、帰宅した将児。やはり、気持ちが沈んでいる。


「………………神風…………」







″ピンポーン″








「こんにちはー、宅配です」


「どうもご苦労さんです」


印鑑を押し、荷物を受けとる。差出人が書いていないが、自分宛てだ。









″プルルルル″






家の電話が鳴っている。将児は受話器を取った。



「はい、もしもし」


「…………宅配便は届いたかベイビー」


「!!?」


聞けるはずのない声。


「神風………………神風か!?」


これは神風大将の声だ。しかし、あの爆発で木端微塵に吹き飛んだはずなのに。


「ふ…………地獄でも落ちこぼれちまってよ………………。」


「ほんまはただ爆風で飛ばされただけやさかいな」



墓石社長、電話先生も存命している。この電話は電話先生の頭からかけているのだ。


「これを機にゴーマと縁を切り、真っ当に生きてこうと思ってるぜ」


「そうか…………ま、これで変な勝負を挑まれる心配ねえから清々するぜ」


何だか少し寂しい気がしないでもないが、これで安心だ。



「宅配便にはわてらの思い出の品を送ったさかい。受け取ってや」


「元気でね将児君。貴方と戦ったこと、ずっと忘れないわ」

2人が言い終わると、神風大将は一呼吸をおく。


「神風?」


「将児…………これからは心の中で、アニキって…………呼ばせてもらうぜ」


「おい、何いっ……………………!!?。神風?おい、神風!!」


既に電話は切れていた。将児はすぐに包装を破り、中身を見る。
すると、そこには布が入っていた。中心には赤く、何かが書いてあるようだ。


「″友情″!!?」


友情、とデカデカと書いてある。その周りには寄せ書きがある。




″男と男の勝負、男と男の友情 絶対に忘れないぜベイビー 神風大将″







″わてらも頑張るやさかい いつまでも元気でおってな 墓石社長″






″将児君、とっても素敵 これからも真剣勝負で頑張ってね 電話先生″











「なんだよ…………あいつら…………」



落ちこぼれ………………世間や社会からつま弾きされたようなものだ。
最初こそ本当に落ちこぼれだったが、今は違う。
魂を持って、魂で語る本物だ。


「じゃあな…………神風…………電話…………墓石………………お前らも頑張れよ」



将児はやや泣きながらも、培った友情を胸に抱いたのであった。






つづく