「何でそんなことやるのですか?」


『!!?』


ザイドスと3バカの前に現れたのは澪であった。彼女は眼鏡を外し、真の姿へと戻る。
中世ヨーロッパの貴婦人のようなドレス、金髪のロールがかかったセミロング、そして王冠のようにプラチナで輝くティアラ。


「何だお嬢ちゃん」


「バカ!コイツは元老院・袁紹の娘、ティアラ令嬢だ!」


ザイドスに言われ、3バカは飛び上がってしまう。


「元老院の!?」



「セレブチルドレンや………………」


父の威光が強い。澪は神風大将へ詰め寄っていく。


「サッカーだの野球だの、まどろっこしい事をしないで戦えばいいじゃないですの」


ストレートな疑問をぶつけるティアラ令嬢。神風大将はツンとして立ちはだかる。


「いいかいベイビー?こりゃあ、作戦だ。やったら、相討ちになるのを、こちらが勝つことにできる」






要するにマトモにやったら勝てないのを、理由をこじつけて勝とうとしてるのが伝わってくる。


「では、見せていただけます?私に、漢と漢の真剣勝負とやらを」


戦いというのをティアラ令嬢は知らない。だが、健一やキッズ達がコウに拘る理由がここから
わかるのでは、と考えた。

健一がどうしても殴りたいというコウ。憎しみがあるわけでもないというのに。
漢と漢の勝負から、それを学んでみたい。


「私は別の場所で見てますわ」



パッと消えるティアラ令嬢。ザイドスも去り、いるのは3バカだけである。


「…………神風君、来ましたわよ」


「!!?」


振り向くと、バイクに乗って現れる将児。服は先程とはうって変わって、白い特攻服を着用している。


「何だぁ、そりゃあ…………」


「このマトイは、俺の懐かしい…………勲章だ…………」



ダイレンジャーになる前、いや、ボクシングに出会う前は暴走族に所属していた将児。
喫煙こそしなかったが、飲酒はしたし、危ない運転をしまくっていた。
その時代を象徴する特攻服。アシを洗った今でも、将児が忘れてはならないことだ。


「んで、どんな勝負なんだ?」


「ああ。まず、この山を下り、2つのチェックポイントを経て、先にゴールしたほうが勝ちなシンプルなレースだ」


「わかった…………とっとと始めようぜ」


山の麓には、小さくゴールの旗が見える。



「地図は妖力テレパシーで直接神風君と将児君に送られるわ!」