「ッツァッ!ハイィィィ!!」


コットポトロの剣を叩き落とし、顔面へ一撃を入れる。その後、前転をしながら剣を避け、カウンター蹴りで蹴り飛ばす。


「気力転身、オーラッチェンジァァッ!!」


再び転身し、龍連者は赤龍拳で戦っていく。父より受け継いだ拳を振るっている。














「ヌンッ!ッツアァァッ!!」



流血を伴う傷を負った者とは思えない動きで、陣はコットポトロを倒していく。
それは魔拳士として、敵を殺すためだけの拳ではなかった。それは、陣が本当に目指していたはずの拳………………拳士としてのものであった。


「魔装降臨!!」



黒い鋼の鎧、妖力が込められた鉄製の義手が現れ、魔拳士ジンとなる。
だが、その拳は魔拳士としてではない。


「亮、ザイドスは俺が殺る!」


「…………わかった!」


餓狼鬼を龍連者達に任せ、ジンはザイドスに向かっていった。



「破ァッ!」


飛びながらザイドスの顔へ拳がめり込むように入る。ジンかま着地し、ふとザイドスは口を拭く。
すると、白い手袋からは赤いものが見えた。



「おのれ、ジン………………恩を仇で返しやがってぇ…………」



黒水晶を使って魔拳士の力を授けてやったというのに、ダイレンジャーを斃すばかりか味方になるとは。



「ザイドス…………貴様だけは許さん…………」


自らの弱さとはいえ、亜紀を殺した原因を作ったザイドス。挙げ句の果てに、自分から拳士としての心や誇りを奪おうとした。
絶対に許すわけはいかない。


「死ね、ジン!」



ザイドスがパンチをする。ジンはそれを避け、空かさず3発のパンチを見舞わせる。


「おぐぉッ!」



「確かに重い拳だが、速さがなければ当たらん!」



「何だと…………」



怒るザイドスは、ジンの腕を掴む。折ろうとするのがわかり、ジンは自ら宙へとジャンプする。
弧を描きながら回り、腕を外しつつ半回転し、蹴りを一撃浴びせた。
よろけるザイドスの隙を狙い、ジンは自分が信じる拳の型をとる。


「豹牙流・奥義!」



両腕を伸ばし、交互に交差させた後に引き戻して回転。その勢いで、拳を突き出した。


「″邪心風拳!!″」



ザイドスの視線に無数の拳が見えた。すぐさま、殴打が始まる。


「おっ、おっ、オォォッ!!」



ジンから放たれる拳は、かつて亮が受けた″邪心風拳″を上回る速さであった。
その強さは非情に徹して得た力とは違う、別の力だった。


(亮、ザイドスを斃し、今の俺と決着を…………)












″バシッ″









「な…………!?」



ジンのパンチは受け止められてしまった。振り払おうとするが、ザイドスの力は強く、動かない。



「クハハハ…………もし、お前が傷を負ってなきゃ…………ヤバかったかもなぁ…………」