翌日、急に帰ったこともあり、あの陣を助けたと言う事から仲間達から批判に等しい質問が多くなっていた。


「どういうつもりだよ!」


「アイツは、的場陣はあなたの命を何度も狙った奴なんですよ!?」


将児と知も、亮を責めてるわけではない。心配なのだ。今までの事を考えると、いつ何をされるかわかったもんじゃない。


「アイツは拳士だ。卑怯な真似はしない。それに…………陣は命を助けてもらった借りがあるんだ」



無理矢理でも、自分の主張を通す亮。呆れるように、仲間たちは聞いているのはわかった。





















″ガチャッ″



「お待ちどうさん」


亮は陣に食事を持ってきた。何も食べてないのが、心配になったのだ。


「体を治すには、食べることが一番!」


おかゆという病人食。これなら、誰でも食べれるだろう。それなのにもかかわらず、陣は睨みつけている。



「?。大丈夫、味は保証する。何たって、こっちはプロだから」


亮は蓮華で米を掬うと、陣の口へ近づけていく。










″パシッ!″



陣は蓮華ごと、おかゆを弾いてしまう。亮はキッ、と一瞬顔を歪めるが、すぐに微笑んだ。



「あーあ…………やっちゃった…………もったいないなぁ…………」


こぼれたおかゆをかたす亮。陣は考えていた。なぜ、コイツはこうまでするのか。
ふと気を逸らすと、亮の脇に少女が見えた。


「ん?あ、この子は由貴ちゃん。新しいの作るから、由貴ちゃん、陣を見ていてくれるかい?」



「うん…………」


亮は部屋を出ていく。部屋には由貴と陣の2人になった。


「あの…………陣さんは亮お兄ちゃんと戦ったって…………」



「…………ああ。お嬢ちゃんこそ、戦う事を知ってる眼をしてるね」



「え…………」



「俺と似ている眼だ。戦いを求めている…………」



かつて、″ジェットマンの世界″でアイリーンに言われたことがあった。
力が欲しかったら。手にいれて、誰かを守れるようになった。その内、由貴は更なる力が欲しくなった。もし、強い敵が現れても勝てるように。
それは自然なことではある。ただ、由貴は複雑だった。争いは好まないにもかかわらず、戦うことで自分の力を高め、それを実感できるのは、密かな快感である。



「あなた…………嫌い…………」


「残念だ。俺はお嬢ちゃんみたいな眼をしてる女の子は好きだけどな」



由貴はわからなかった。亮は自分を傷つけ、こんなにも失礼な男を助けたのか。