宇宙から飛来した大神龍。破壊の限りを尽くすが、ダイレンジャーとゴーマの休戦協定を結んだことで去っていった。
その最中、コウは自分が平和の脅威になるのを防ぐため、自らを封印するのであった。
12月に入り、本格的な冬の寒さが到来していた。若葉台小学校でもストーブを出し、授業中に点けている。
とはいえ、寒さに負けず、子供達は外で遊んでいた。ドッジボールや縄跳びで昼休みを過ごしている。
「由貴ちゃん、一輪車乗ろうよ」
沙織からの誘い。しかし、由貴からの返答はない。
「由貴ちゃん?」
「………………え!?」
「ボーッ、としてた?」
「ごめん、うん、何だっけ?」
その様子を見た正夫と町子。あれから1週間経ったが、コウは見つからない。
探してはいるが、時間的な制約から成果はない。いや、コウは自ら封印したのだ。見つからないようにしているだろう。
「僕らやクラスのみんなもだけどさ、由貴ちゃんは無理…………してるよね」
「わかりきってるわよ…………そんなの」
コウは転校生ながら、クラスの中心にいた。特にダイレンジャーになってから、大人っぽくなったコウは誰もが認めるクラスのリーダーであった。
寂しさを紛らわすために必要以上に遊んでいる。中には、サッカーをしていると、コウにパスを出そうとしてしまう子もいる。
コウがいるのが当たり前なのだ。
「この間の戦いで、行方不明になったとしか、みんなにな言えない」
真実と事実は似て非なる。コウを含め、自分達がダイレンジャーキッズである″真実″は栄光をもたらした。
しかし、コウはゴーマの血が流れており、それで暴走したという″事実″は余りにも残酷だ。
それは恐怖という感覚とは違う。生理的な嫌悪と脅威を抱かざるをえない。
それほど、バキの姿と力は一般人であるクラスのみんなには厳しい現実なのだ。
放課後、由貴は誰とも一緒に帰らなかった。ランドセルを家に置くと、すぐさまコウの捜索に出掛けた。
もちろん、他のキッズも探してはいるが、由貴のそれは異常であった。
コウでなくとも、あるいは別の形であれば、こんな必死ではないのかもしれない。
「どこにいるの…………」
コウの気を感知できない。封印の影響なのか、わざと消しているのか。
大輪車で街を飛び出してもいるが、全く手がかりはない。遅くまで捜し、今日も収穫はない。毎日、この繰りかえしだ。
家に戻っても、夕飯と風呂を済ますと寝るだけ。これも、繰り返している。
他に何をやったとしても、喪失感は拭えない。
「…………」
座敷でテレビを付ける。すると、大神龍による被害状況の後にクリスマスシーズンの話をしている。
あれだけの被害があったのに、クリスマスを喜ぶ。″どうかしている″。なんて、思えない。
自分だって、どんなに犠牲を払っても、明日に来る喜びを享受していた。
その最中、コウは自分が平和の脅威になるのを防ぐため、自らを封印するのであった。
12月に入り、本格的な冬の寒さが到来していた。若葉台小学校でもストーブを出し、授業中に点けている。
とはいえ、寒さに負けず、子供達は外で遊んでいた。ドッジボールや縄跳びで昼休みを過ごしている。
「由貴ちゃん、一輪車乗ろうよ」
沙織からの誘い。しかし、由貴からの返答はない。
「由貴ちゃん?」
「………………え!?」
「ボーッ、としてた?」
「ごめん、うん、何だっけ?」
その様子を見た正夫と町子。あれから1週間経ったが、コウは見つからない。
探してはいるが、時間的な制約から成果はない。いや、コウは自ら封印したのだ。見つからないようにしているだろう。
「僕らやクラスのみんなもだけどさ、由貴ちゃんは無理…………してるよね」
「わかりきってるわよ…………そんなの」
コウは転校生ながら、クラスの中心にいた。特にダイレンジャーになってから、大人っぽくなったコウは誰もが認めるクラスのリーダーであった。
寂しさを紛らわすために必要以上に遊んでいる。中には、サッカーをしていると、コウにパスを出そうとしてしまう子もいる。
コウがいるのが当たり前なのだ。
「この間の戦いで、行方不明になったとしか、みんなにな言えない」
真実と事実は似て非なる。コウを含め、自分達がダイレンジャーキッズである″真実″は栄光をもたらした。
しかし、コウはゴーマの血が流れており、それで暴走したという″事実″は余りにも残酷だ。
それは恐怖という感覚とは違う。生理的な嫌悪と脅威を抱かざるをえない。
それほど、バキの姿と力は一般人であるクラスのみんなには厳しい現実なのだ。
放課後、由貴は誰とも一緒に帰らなかった。ランドセルを家に置くと、すぐさまコウの捜索に出掛けた。
もちろん、他のキッズも探してはいるが、由貴のそれは異常であった。
コウでなくとも、あるいは別の形であれば、こんな必死ではないのかもしれない。
「どこにいるの…………」
コウの気を感知できない。封印の影響なのか、わざと消しているのか。
大輪車で街を飛び出してもいるが、全く手がかりはない。遅くまで捜し、今日も収穫はない。毎日、この繰りかえしだ。
家に戻っても、夕飯と風呂を済ますと寝るだけ。これも、繰り返している。
他に何をやったとしても、喪失感は拭えない。
「…………」
座敷でテレビを付ける。すると、大神龍による被害状況の後にクリスマスシーズンの話をしている。
あれだけの被害があったのに、クリスマスを喜ぶ。″どうかしている″。なんて、思えない。
自分だって、どんなに犠牲を払っても、明日に来る喜びを享受していた。