テンマレンジャーの制止を振り切り、バキは気力と妖力を合わせた合体光波を巨大な龍に向けて放つ。
けれども、パチンコ大名人と同じく龍は効果がないばかりか、微動だにしない。
人間でいえば、砂粒が躰にに付着した程度にしか感じないのであろう。


「コウ君………………」


バキが龍を攻撃したということは、恐らく自分達やゴーマに優先し、自身にとって脅威になるのであろう。
いや、もしかしたら地球にとって…………。そう思い始めた矢先…………。













″ポワァァン″









巨大な龍の眼が光る。そして、躰の中枢から稲妻が口へと走っていき、収束していく。




「みんな、逃げて!」



ホウオウレンジャーは一瞬自分の感知能力を疑った。その叫びも、もっと早くにあげるべきだったと、後悔もした。





″ズウォォォッッ!!″






金色の稲妻が、巨大な龍の口からから放たれる。地面につくと、一瞬の強い光を生んだ。












″ズドォォォォンッッ!!!!!″



瞬く間に稲妻のエネルギーが周囲へ、都心へ炎という形で拡がった。


『うわアアァァァァァッッッッッッ!!!!!!』













ダイレンジャーも、龍星王も、人々が爆炎に巻き込まれる。巨大な龍による攻撃の余波はそれだけではない。
副次作用で衝撃波が起こり、ビルが崩れ去り、吹き飛んでいく。逃げ惑う人々も瓦礫や炎に飲み込まれてしまう。
ホウオウレンジャーは起き上がると″天宝来来の玉″を取りだし、青龍月刀を掲げた。


「気伝招来、王青龍!」



龍星王に似た水色の龍が呼び出される。ホウオウレンジャーは飛び乗ると、手をかざした。



「″大流水!!″」



水を拡散させ、振り撒く。火を消していき、被害を抑えようとする。


「お願い………………」






















巨大な龍は一度光線を吐いただけで去っていった。王青龍により、都心部の火災は収まった。しかし、それによって被害の全貌が明らかになる。



「こ、こんな…………」



山手線一帯が焦土と化していた。ビルやマンションが崩れ、車や電車が横転している。
ホウオウレンジャーには、見覚えがある。″ジェットマンの世界″でのバイラム・ウォーによる都市の破壊を目にしている。
ただ、あれは大軍勢により時間をかけて行われたものだ。
これは、たったの一撃で大災害が起きたようなものだ。


「これじゃあ………………街の人は…………」



あの時は事前にトランザが都心部への攻撃のみを予告していたが、龍からの予告も、猶予もない。
どれだけの人が犠牲になったか、計り知れない。


「…………王青龍、降ろして…………」