リンの部屋を飛び出て、バキは黄色がかった光の翼で飛び立ったのだった。



「やべぇ…………」



バキは数多の次元を滅ぼした邪神ジューザをも凌駕する戦闘力を有している。
高ぶりすぎた感情が力と共に暴走した、コウの覚醒形態。これが出てきたということは、コウの身に何かが起きたということになる。


「由貴ちゃん、コウの向かう先は!?」


「多分………………亮お兄ちゃん達のところ…………」



コウが眠っていたところに、さっきの光の玉が来てからということは、直接的な原因はあれだろう。


「コウがゴーマに覚醒したってことかな…………」



正夫が言うように、ゴーマの血が目覚めたのかもしれない。



「みんな、行くアルよ!」



リンに言われ、大輪車をつける。リンとキッズは、東京都心へと向かうのであった。


















獅子棍棒・影を振り、獅子連者はガラと戦っていた。幻にも対応し、ガラは攻撃を避ける。


「大五、貴様がいるおかげでクジャクが昔のようにいる。それが許せない!」



自分は変わったというのに。魂まで売り渡した自分とは違う。



「お前こそ、クジャクの親友でありながら…………ん?」











″キィィッ!!″









燃える火の鳥…………いや、孔雀だ。一目で、″孔雀扇″だとわかる。




「クジャク!?」


「大五…………」




炎が解かれ、クジャクの姿へと変わる。


「大五…………ガラ…………大変なことが起きる…………。今すぐ、ここから離れるべきだ」



急に来たかと思えば、意味不明なことを言っている。



「どういうことだ!?」


「わからない。だが、巨大な力が近づいているのだ」


クジャクはガラから獅子連者へと視線を移す。



「今すぐ、一人でも多くの人命を救わねばならない!」



「クジャク…………」



優美の時とは違い、優しさを取り戻している。
何かは不明だが、嘘とは思えない。


「わかった。今すぐ、みんなに知らせよう」


「大五…………」



「誰がたぶらかされるか!!」



ガラは剣に妖力を収束させ、矢のようにして放った。獅子連者とクジャクは避けるが、奥にある車に直撃し、爆発してしまった。



「ガラ…………」



「クジャク、そんな話で戦いが終わるとでも思ったか!」



「信じてはくれないのか…………ん?」

















″ドズゥゥゥンッッ!!″







視線はそれに向かった。







爆音かと思う程の衝撃が伝わる。