「ここはお前の夢の中…………誰かがお前を眠らせてるんでい!」


コウはある程度理解できた。内から湧いてくるような、禍々しい感覚。


「こんなのをするのは、アイツだ………」



「………流石、察しがいいね」


「!!?」


闇より出てきたのは、コットポトロが引いた人力車に乗ってきた人物。


「阿古丸………」


「コウ…………私が来た意味、わかっているのだろう?」


こんな精神世界にまで干渉し、今までの所業を思い出せば、目的を察するには十分な判断ができる。


「今日こそ、君をゴーマの″下僕″としてやるために来たんだよ」


「お前もしつこいな……。僕はゴーマには…………」


「私が手を下さなくても、君は10歳になるとゴーマに覚醒する。遅かれ早かれという差が出来るだけじゃないか」


「10歳になると…………」


コウは知らなかった。自らの辿る運命を。恐らく、亮達は知っているのだろう。


「私は千里眼を地獄で入手してね。何でもお見通しさ」


円筒を取りだし、コウを見る。すると、現実ではキッズ達が心配しながらコウに付き添っているのが見える。


「由貴は私の妃になるとして、他のガキはお前自身が殺すかも知れないな。もし嫌なら、私が部下として生かしてやっても…………」











″ブオォッ!!″







衝撃波が阿古丸の隣にいたコットポトロを吹き飛ばした。それはコウが放ったものであり、睨むように見ている。



「…………僕は起きて、ゴーマにならない方法を見つけなきゃいけない。これ以上、お前の戯言に付き合っていられるか」



解決のためには母親に会う必要があることも知らないらしい。


「教えてあげようか?君がゴーマにならないためには、母親に会うのが必須条件らしいよ」



「何だって!?」


確か阿古丸が遠くへ飛ばしてしまい、再び会えなくなってしまった。


「あれを見たまえ」


阿古丸が指を指す。その先には神社がある。境内の奥、そこにいるのは…………。


「母ちゃん…………」



間違いない。白い服を着ているのは、自分の母親だ。


「母ちゃん、母ちゃぁぁぁんッッ!!」



「!!?。コウ…………コォォォウッッ!!」



お互いを認識した。コウは走っていくが、母親は神社と共にスッと消えてしまった。


「母ちゃん……」



「君は母親に会うことはない。この夢から醒めることもない」



阿古丸の冷たい言葉。コウは振り向き、白虎真剣を握った。