11月23日。乾いている冬空は、星をより一層美しく見せている。
キッズ達は亀夫の家に集まり、天体観測をしているのだった。



「すごい………大きい………」



優美が望遠鏡を覗く。その先には月があり、一層の大きさを感じさせる。


「しかし………亀夫さんにこんな趣味があったなんて驚きだなぁ」



コウはいつも亀を可愛がり、絵本を描いているイメージしかない亀夫の趣味を意外と思ってしまう。


「失礼な……星にはロマンがあるがや!」



絵本を描くのも、想像力が大事だ。亀夫にとって星を見ることは、ロマンを感じ、想像力を高めることでもあるのだ。


「ピントをもう少し合わせてみるがや」


交代しながら見ていたキッズ達をどかし、亀夫は望遠鏡を覗きながらピントを調整する。


「もうちょい……………こうすれば………………ん?」


少し離れ、目を擦る。再び覗きこみ、たった今見たものを確かめた。


「こりゃあ…………」



月の表面。そこに巨大な影が見える。蛇…………いや、巨大な龍のように思える。


「な、何だがや………これ……………」





















゙グオオオォォォッッ!!!゙












「!!?」


思わず、亀夫は望遠鏡から離れてしまう。


「どうしたんです?」


知がスマートフォンを弄るのをやめ、気になって寄る。


「か、知さん………と、とんでも…………う、うわぁぁぁァァッ!!」













゙ぱああぁぁぁぁ゙















亀夫の゙天宝来来の玉゙から緑色の光が放たれたかと思えば、亀夫が小さくなっていく。


「亀夫さんが亀に!?」


健一はそう言いながら亀を持ち上げる。










゙ぱああぁぁぁぁ゙












「おわっ!?」


「ギャッ!!」


亀夫が元に戻る。ちなみに、健一はそのまま下敷きになってしまう。


「健一君!」


由貴が介抱するが、ピクピクとなっている。当の亀夫は震えて放心状態になっていた。


「亀夫、いったいどうしたんですか!?」


「き、恐怖の大王…………」


「え?」


「恐怖の大王が………地球にやってきるがや………」






















―――――ゴーマ宮―――――












雛が茶と歌詞を持ってくる。そこはゴーマ皇帝の間で、ゴーマ15世と阿古丸がババ抜きを興じていた。


「ゴーマ15世、阿古丸様、茶をお持ちしました」


面を外し、ゴーマ15世と阿古丸は茶を飲む。


「んん?雛、これは何じゃ!?」


ゴーマ15世は茶の横にある菓子を初めて見た。いや、正確には初めてではない。
人間界を覗くために放った第三の眼で流し見した程度だった。