阿古丸はゴーマ族の遺跡を訪れていた。最近荒らされた形跡がある。
遺跡や埋蔵されていた書物が処分されている。残留妖力から犯人は分かりやすかった。


(父上の仕業か…………。だが、なぜ遺跡を壊したのだ?)


キバレンジャーやウォンタイガーの誕生を予言していた書物もあり、貴重な物だったが全て処分されている。


(雛が持ち帰ったこの書物…………ゴーレム精製術以外にも、様々な秘術が記しているが…………)


特段、目を見張るような記述はない。阿古丸にはシャダムがこのような真似をしたのが理解できなかった。
遺跡を出ると、そこには雛が立っていた。


「どうした」


「あの………阿古丸様……………姉様はどうしたんでしょうか?」


イヤリング中宮の事を言っている。阿古丸は書物を広げ、ページをめくっていく。


「ゴーレムは泥で作った偽の肉体…………。あるはずのない肉体を求め、人間の肉を喰らうという記述がある」


「え………」


「そして、お前に告げなければならい事実がある………」


















「しゃらァッ!!」


「ッツアァッ!!」



翌日、コウの飛び蹴りと健一のコークスクリューブローの特訓が進んでいた。
亮達の巡回もあり、昨晩は犠牲者は出なかった。2人は学校にいる間もイメージトレーニングをしつつ過ごしていた。
皮肉にも、昨日の事件で学校が半日で終わり、特訓をしていたのである。


「どうだ………コウ…………俺は大分わかってきたぜ」


健一は満足いく感じであった。゙ライジングデンプシー゙を思いながら、昨日見たゲンの突きを含んでいくと、わかってきたものがある。


「僕はダメだ…………」


゙きりもみ大風車蹴り゙は見よう見まねで、威力を回転で補えていた。
しかし、今回は自分の力をどうすればいいかわからない。ただの飛び蹴りを繰り返してるだけなのを自覚していた。


「どうすりゃいいんだ…………」


「脚で気功波を放つ気分でやってみりゃいいんじゃねえか?」


「脚で気功波をねぇ…………ん?」


ふとコウの視線が向けられる。そこには雛が立っていて、険しい表情をしていた。


「君は…………」


「雛ちゃんだ。三人官女の妹の………」


雛は簪を出し、走り出した。


「お前だ!お前のせいで、姉様達はぁァッ!」


『!!?』


向かってくる雛。目標は明らかにコウだった。簪を避け、腕を掴む。


「く………」


「確かに君のお姉さんを斃したのは僕だ。でも、ここで殺られるわけにはいかない」


雛はコウの顔を見る。悲しいながら、悔いていない。そうだ。コウが悲しむのは、自分が怒っているからだ。
キッズないしは人間達からすれば、三人官女は悪の怪人にすぎないのだ。


「……………違う………姉様じゃない…………」


「え?」