由貴の成長は嬉しいが、妹を盗られたような気分だ。全く、コウも本当に罪深い。


「あと、その………健一君にも…………告白されたんだけど………」


「え?健一君にも?」


何という多角関係なのだろう。この間も、クラスの友達から告白されたというが、由貴もかなりの罪人だろう。



「由貴ちゃんは、健一君をどう思うんだい?」


「健一君は凄い努力家で、友達を守って…………」


「………答えは出てるんじゃないかな」


「………」


伝えなければならない。それが恐らく、健一に、町子に、コウにする礼儀であり、義務なのだ。

















゙ドゴッッ!!゙



「ぶッ!!」



健一の拳がコウを殴り飛ばす。ボクシングをしてるだけあってか、かなり痛い。


「何で殴られたか、わかってるだろうな?」


「……………お前には関係ないだろ………」


「ある………あるね、俺には…………」


怒りにもとれる言葉。健一の指摘の通り、コウは気づいていた。
友達を守ろうという行動でも、由貴に対しては過剰な反応を示していた。


「お前、何で2人に答えてやらねーんだよ!!。さっきの゙気力ボンバーアタッグだって、ハッキリしねえお前のせいだろ!!」


「何だよハッキリって………」


「惚けんな………。お前は由貴ちゃんが好きなのか、町子ちゃんが好きなのかってことだよ!!」


胸ぐらを掴む健一。睨む視線をコウは直視で受けれない。


「あの2人は苦しんでるぞ…………お前が答えてやんねえでどうすんだ!?。どっちが好きなのか、ハッキリしろよ優柔不断野郎!!」


「…………」



町子は入り込んでくる。馬鹿なことをした自分にツッコんだり、泣きそうな自分を叩き起こしてくれる。



「僕は……………」


由貴は癒してくれる。心が傷ついた時も、抱いてくれるように温めてくれる。



「僕は…………………。そうだな、健一…………」


責任がある。どっちにも、責任がある。気持ちに応える責任。答える責任。
奇しくも、その2人と同じものを背負う。


「それに……………もうら犠牲者は出せない」


迷いを振り切り、強くなる事を決意する。


「俺も付き合うぜ」


健一がニヤリとしながら、手を差し伸べる。さっきは殴った手が、自分を引き上げてくれる。


「男の友情、かぁぁッ!。いいねぇ!!」


白虎真剣もテンションが上がる。そうと決めた2人は、ある場所へと向かうのだった。