ならば、今コウを好きになった自分は何だというのだろう。
壊したくない。自分の気持ちを受け入れてほしい。そう思うと、由貴に合わせるような事には抵抗を感じてしまう。


(由貴ちゃんに…………敗けたくない………)



「町子ちゃん」


呼び止められた。振り向くと、そこには知がいた。


「知お兄ちゃん………」


「僕も間に合えなくてごめん…………そっちで置きた事は聞いたよ」


残念な結果になった。
天時星は時間を操る力はある。勿論、発動すれば時間回帰を行う事ができる。
ただし、人の生死や運命を変える力があるわけではないのだ。
使った所で、少年達が生き返るわけではない。


「町子ちゃん、゙気力ボンバー゙が使えなかったそうだね」


「……………」


もう話がいっているとは………。


「怒りたいなら、怒ってよ」


「違いますよ」


知は町子の髪を触る。


「町子ちゃん。僕は色んな髪を切ってきた。でも、町子ちゃんの髪は切りずらかったよ」


「どうして?」


「綺麗な髪だからさ」


知は優しい顔で語りかける。


「わざわざ僕を早い時間に呼んでくれて、整えたらツインテール……………由貴ちゃんを意識してるんだね」


そうだ。町子は由貴と対等に勝負をしたかった。それならば、意外性も狙える。


「コウ君が町子ちゃんを見る時、髪を気にするかい?。由貴ちゃんを見る時、髪を気にするかい?」


そうじゃない、とでも言いたいのか。


「コウ君が見てるのは、町子ちゃんという人………なんじゃないかな」


「どういうこと?」


「髪というのは、決める時にしか弄らない。あとは、特段いじったりしないでしょ?。町子ちゃんはいつもの町子ちゃんを、見せればいいんじゃないのかな?」

強がっていた、のは確かだ。可愛いと、言われたかった。
とにかく、コウに振り向いて欲しいと願っていた。


「本当の友達になるのに時間がかかるのと同じように、好きになるのだって時間がかかりますよ」



「時間?」


「一目惚れってのは、その人の外見から来るものなんだ。でも、その人を知って、綺麗なとこ、汚いとこ、全部含めて、初めで好ぎだって言えるんだよ」


それは友達など、人間関係含めてだ。
知も、ダイレンジャーの仲間と本当の意味で信頼を生めたのは鍵道化師との戦いからだった。
同じように、友達という括りから、キッズ達は戦友であり親友となった。
コウを好きになったのも、その過程だ。


「誰かと競うんじゃない。自分を向き合うのが、本当に相手に気持ちを伝えれるんじゃないかな?」


「……………知お兄ちゃん………そう言えば、いつから知ってたの?」