サラサラとした髪だが、肌をつたい、体操着の中にまで侵入していくのは気持ち悪い。


「坊やは妾と一つになるのよ…………」



「??」


わからないままに、裕樹は生命力を吸われていく。


「んんんんッ!!」


涙を流しながら、裕樹は暴れようとするが、強く縛られてる上に力が抜けていくためにどうにもならない。

「裕樹君、終わっ…………きゃぁッ!!」


同じく、女子の体育係の南美が心配して見に来た。知らない女性が、裕樹を髪で包んでいる。



「あ…………せ、先…………ひっ!」


助けを求めようとしたが、女性、即ちイヤリング中宮は南美の前に移動してきた。


「娘ではなぁ………だが、あまり騒いでほしくはないの………」


「あ…………助け…………」













゙パサッ゙













音と共に、髪がイヤリング中宮に戻っていく。その音の正体を、南美はすぐに知った。


「ひ、裕樹君の…………どうして?」



゙5年2組 相澤 裕樹゙と書いた体操着。いつの間にか裕樹がいなくなった事を知る。
そして、悟った。裕樹はこの妖しい女に消されたのだと。とりわけ、喰われたのだと。


「さあ………お前には………」


「あ………いやあぁぁぁァァッッ!!」
























『!!!?』


コウと由貴は遠くで気が1つ、消えたことに気づいた。恐らく、イヤリング中宮の仕業だろう。


「先生!」


「な、何だ!?」


「ゴーマです!ちょっと早いけど、帰らせてください!」


「わかった!行ってこい!!」


帰りの掃除を放り投げ、キッズ達は学校を出た。典韋の件以来、先生達は、協力的な姿勢をとってくれて助かる。
コウは教室から飛び降りてキバーボーに乗り、大輪車を使う他のキッズ達よりも速く向かう。


「急げ…………急げ………」



場所は隣町の大崎小学校だ。果たして………。














南美が教室に戻る。クラスメートは既に着替え終わっており、掃除まで終わっていた。


「南美ちゃん、遅かったね」


「あれ?裕樹は?」


黙ったままの南美。誠は不用意に、南美に近づいていく。


「…………美味しそう…………」


「え?」


次の瞬間、教室の扉が閉まる。すると、南美が倒れてしまう。そして、憑依していたイヤリング中宮が出現した。


『わああぁぁぁァァッ!!!!!』



クラス中から悲鳴が聞こえた。イヤリング中宮は女子には指輪を使って拘束し、身動きをとれなくしてしまう。