三人官女の妹、かんざし女雛によってイヤリング中宮が復活した。
イヤリング中宮は少年達を喰らい続け、キッズ達は止めに入る。
しかし、様々な感情が入り、キッズ達はチームワークが乱れてしまう。
そして、由貴が夕陽の中で見たものは…………。













夕陽が重なる中、コウと町子は唇を重ねた。強引に町子がキスをしたのである。
それを目撃した由貴は、動きも思考も停止してしまう。


「……………嘘………………」


なぜ、なんで、どうして。そういう言葉しか浮かんでこない。
由貴がいるのに気づき、コウは顔を離す。


「由貴ちゃん…………」


由貴はコウと町子の顔を交互に見る。反応が違う。コウはただ驚いているが、町子の方は強い眼をしていた。
まるで、自分のものを奪わないでという風である。


「これは…………違うんだ………」


「違わないよ!」


「町子ちゃん!?」


町子はギュッとコウの腕に捕まる。ここで由貴に見せつけておきたいのだ。
自分が何処までコウが好きなのかというのを知らしめたい。


「……………」


そんな町子の真意を悟り、由貴は反対へ走っていく。


「由貴ちゃん!」


コウも追いかけようとする。しかし、町子が腕を放さない。
顔を見ると、゙行かないで゙という感情が伝わってくる。それでも、振り切ってコウは走っていった。
残された町子は悔しくなり、また涙が溢れていた。



















「待って由貴ちゃん!」


全力で走るコウ。だんだん距離が縮まっていく。なのに、由貴は一向に止まろうとしていない。
腕を伸ばし、掴む。コウは由貴の顔を見ようとするが、前髪が被ってよく見えない。


「由貴ちゃん、さっきのは違うんだ!」


「何が違うの?」


「いや、だから……………」


コウは説明が出来ない。町子からキスをしたのは、由貴は気づいているだろう。
そうではなく、自分はキスを受け入れたのだ。下心が否定できない。
好きだと言われて、嬉しかったのも事実なのだ。
本当に嫌なら、唇が重なった瞬間に突き放せばいいだけなのだから。


「学校でも、町子ちゃんは可愛いって言ってたんだから、別に間違ってないじゃない」


「いや、僕は……………」

「それに!!」


由貴がようやくコウと面と向かう。怒っている顔に、コウは戸惑ってしまう。


「あたしはコウ君の彼女じゃないんだから………………」


「……………」


そう言われ、コウは手を放してしまう。由貴は、再び走り出して帰ってしまう。


「由貴ちゃん……………」