健一が振り向くと、一人の少年が公園からふらふらと出てくるのが見えた。


「4組の章太郎………オーイ!」


駆け寄る健一。章太郎はどこか浮わついた顔をしている。


「…………健一?」


「どうした?」


「それが、覚えてないんだ………」


「は?」



話によれば、知らない女の子から声をかけられ、気がついたら公園の奥の茂みで倒れていたという。
章太郎はそのまま帰宅したが、気になって健一と由貴は公園に入った。


「あたし、あっちの方を見てみる」


由貴に反対側を任せると、健一は章太郎がいたという茂みを見る。


「……………ん?」


そこには、あるものが垂れていた。


「こ、これは…………」


顔が赤くなる。章太郎が何をしていたかが、わかってしまった。


「野外…………ってやつか?」


それにしても、こんなところでいったい…………。


「君ィ…………格好いいねぇ……」


「!?」


知らない女の子。頭を団子にして纏めている。


「妾は雛。ねえ、妾と遊びましょう?」


「あ、遊ぶって…………何で?」


ゴクリ、と唾を飲む。


「わかるでしょ~。男の子と女の子の゙玉遊び゙」


「ま、まさか君が………章太郎を………」


雛は近づくと、健一に寄り添うように抱きついた。


「大丈夫………忘れちゃうから…………」



「え?え?」


「だから、妾と…………」
















゙シュッ!゙















『!!?』


雛は健一から離れる。すると、直後に水が健一をかすめた。


「由貴ちゃん!?」


「健一君、その子から妖力を感じる!」


「!?」


雛は由貴の顔を見ると、すぐに思い出した。この2人はダイレンジャーキッズであることを。


「バレたなら、戦うしかない………覚悟しいや!!」


雛の躰が発光する?すると、着物に似た簡易的な鎧を装着した姿となった。


「き、君は!?」


「妾はお前達に斃された三人官女の妹、かんざし女雛!!」


2人は思い出していた。
三人官女はコウがキバレンジャーになった頃に出現した怪人だ。


「妾はお前達シュラのクズなどに遅れは取らぬ。特にそこのメス豚!!」



「な………」


ショックを受ける由貴。かんざし女雛は武器である簪を持ち、由貴に向かってきた。


「死ね……………」













゙カツンッ゙











「あ」


石に躓き、転んでしまう。その様子に、健一と由貴はある考えが浮かんだ。


「もしかして…………弱い?」


「な………!。妾をなめるな!!」


立ち上がろうとするかんざし女雛。由貴は青龍月刀を出し、その前に首へ刃を突きつけた。


「!!?」


しまった。かんざし女雛は実戦をしたことがないため、どうしたらいいかわからなくなっていた。



「メス豚なんてヒドイよ!!」


(え!?そっち?)