「我、求め訴えたり。亡き命の還りを。さすれば、肉は土・骨は木・血は水・魂は火として、死者を此処へ」


円陣を組んでいた蝋燭の灯が消えていき、泥に刺さっている蝋燭のみが光る。



「ゴーマ禁妖術・゙還命創(かんめいそう)゙!!」



雛が唱えると、灯がオーラとなって泥を包み込む。すると、泥が生々しい肉になり、人の形を成していく。
やがて豊満な胸を露にし、女性はそこに立っていた。


「姉様…………」


「女雛……………かんざし女雛か?」


そこに立っていたのは、イヤリング官女の人間体であった。


「はい!お久しゅうございます」


挨拶をする雛。そう、雛は泥の肉体…………今の世にいゔゴーレム゙を造り出したのである。


「逢いたかったです…………イヤリング姉様………」


「妾は3人の魂が合わさっている」


「ええっ!?」


手始めにイヤリング官女を生き返らせようとしたが失敗し、3人の魂を1つの肉体にしてしまったらしい。


「雛よ、妾はお腹が空いたのぅ」


「では、何かお持ちいたします」


雛は張り切って食事を取りに向かった。


「雛」


「!?。阿古丸様…………」


部屋の前には静かな表情で阿古丸が立っていた。


「聞いてください。姉様が生き返ったんです!!」


「三人官女が?」


「ゴーマ族に伝わる術が、この禁書に記されていたのです」


阿古丸は禁書を読んでいく。ゴーレムの造り方まで着くと、じっと内容を読んでいた。


「妾は姉様のお食事を持ってきますので」


会釈して去る雛。阿古丸は部屋に入り、イヤリング官女を見に行く。


「……………これは………」


「姉様!お食事の前にお召し物…………」


服を持ち、早急に戻ってきた雛。


「あれ?阿古丸様、姉様は?」


部屋には阿古丸しかいなかった。さっきまでいたはずなのだが…………。


「私が入ったら、もういなかったが…………」


妖力の痕跡は間違いなく三人官女だが、どこか不安定な気がする。
もう一度禁書を読み直す阿古丸。恐らく、何らかの事件が起きるという予感を抱きながら…………。




















「尚司、もう寝なさい」


「はーい」


母に急かされ、尚司は自分の部屋の布団へと入る。
時間は過ぎて深夜になり、寝静まった世間。尚司はトイレに行きたくなり、起きてしまう。


「ん?」


何やらサラッしたものがある。掴んでみると、髪の毛であることがわかった。


「何だろ…………」


女の人のものだ。母ではなさそうだが………。


「…………え?」


よく見ると、部屋中に髪の毛が張り巡らされている。ゲーム機なから何まで、すっかり髪だらけになってしまっていた。


「何だよこれ…………俺のへ………」