気づいたようだ。そう、むしろ気づいて貰った方がありがたい。


「………本番にしようじゃないか」


「何!?」



悪来で弾き返し、再び距離をとる。更に、紅い稲妻を出し、キバレンジャーを捕らえた。


「う…………ああぁぁァァッ!!」


稲妻で空中に持ち上げられ、キバレンジャーの躰から火花が散っていく。
落ちると、一気に痛みを自覚した。


「っつ…………」


「倒れてるところ悪いが、本番というのが何かを教えてやろう」


典韋は指先に妖力を込める。それを校舎の方へと向けると、小さな妖力波を指先から放った。


『!!?』




















゙ドシュンッ!゙
















「か、は…………」


当たったのは、5年2組の女子・かおり。正夫の姉であった。
胸を貫かれ、眼は完全に硬直している。


「お姉ちゃん!!」


シシレンジャーが叫ぶ。しかし、力無くかおりは同級生に倒れかかってしまう。


「かおりちゃぁぁぁんッ!!」


同級生の悲鳴。妖力波で焼かれた影響か、血は噴き出すのではなく、徐々に広がっていく。


「由貴ちゃん!今なら間に合う!!」


「は、はい!!」


キバレンジャーに言われ、ホウオウレンジャーはすぐに立ち上がって、5年2組の教室までジャンプした。


「どいて!」


ホウオウレンジャーに言われるまでもなく子供達は下がってはいるが、慌ててるのか口に出してしまう。
癒しの水を傷口にかけ、気力を注いでいく。かおりの躰はピクピクと動いていて、危険な状態である。
気も弱々しい。間に合うか、助けられるか、ホウオウレンジャーは何も考えずに必死に治療する。



「……………あう……………」


「!!?。戻った!!」




















ホウオウレンジャーの声に安堵したキッズ達。典韋に怒りを越えて憎しみを抱きつついる中、1人は先行して典韋に向かっていった。


「よくもお姉ちゃんを!!」


「おや、他の誰かなら良かったのかな?」


「典韋ぃぃぃィッ!!」


狛犬斧と悪来、斧どうしが弾きあっている。シシレンジャーの周りから冷気が溢れるように立ち込めていく。


「霜氷星・゙大氷河!!゙」

吹雪が圧縮され、無数の氷の塊となる。それを典韋に向けて放っていく。



「当たればまずいな…………当たればだがな!!」


稲妻を結界のように自分の周りに放つ典韋。゙大氷河゙で出来た氷は稲妻に阻まれ、砕かれて到達することができない。