プール前にあったトーテムポールが使われており、妖力の縄で手足を縛られている優美。
それなりに痛めつけられたのか、所々から血が流れている。



「た、助けなきゃ!」


町子はオーラチェンジャーを取り出す。


「な、何だこれ?」


『!!?』


雅之の声を聞き、慌てて町子は腕の袖を伸ばして隠す。
何と、3組の一部の子供達が追いついてきたのである。コウ達が出発して、すぐに追いかけたためだ。


「町子ちゃん、何よ、これ………」


起きている惨劇の説明を求める冴子。ずれた眼鏡を直す暇さえ忘れている。
当然だ。目の前には人であったかさえ疑わしい肉の塊があるのだから。
普通の子供なら失神してもおかしくはないが、若葉台小学校の児童達はゴーマに襲われるのが日常茶飯事なせいか、状況に慣れてしまっている。


「……………みんな………」


キッズ達は薄々感じていた。なぜ学校を襲い、優美が磔になっているか。
そして、自分達がその策に乗せられていることに。













強い気を感じ、典韋は後ろを向いた。強い気が5つ。その中でも、白い帽子を被った少年は、特に強い。


(あれが吼新星・コウか………学校の外にいたとはな)


他の4人の澄んだオーラに比べ、禍々しい力も内包している。
その力は、妖力に間違いない。そればかりか、並の妖力ではない。


(だが、今のチェーンソー僧侶は止められぬな………)


チェーンソー僧侶は子供達の首に向けて、チェーンソーを向けている。
名乗りでなければ、一人一人殺していくと言うのであった。

















「くそ…………」


来る途中から亮達のダイレンジャーにも連絡をしているが繋がらない。
妨害妖力が発せられてる上、万華鏡伯爵と戦っているために繋がらないのだ。


「みんな………みんなは残って………」


「コウ君?」


コウは何かを決意した。というより、覚悟したのだ。


「僕が捲き込んだことだ。だから、みんなは…………」


キッズ達は当然察した。コウは自分だけで名乗り出る気なのだと。


「バカ野郎!」


健一がコウの胸ぐらを掴む。他の子達は、わけが解らずに見ているしかなかった。


「俺達は一緒にジェットマンの世界にもいったろ?。それくらい、覚悟できてるんだ!」


「健一……………」


「みんな、お前の友達だ…………俺らにも背負わせろよ………」


そうだ。また、悪い癖が出た。みんなのことを、甘く見ていたのだと、思い知らされる。


「あたし達、みんなでダイレンジャーキッズでしょ?」


町子が肩を掴む。


「僕ら全員でやらなきゃ、勝てないからね」


正夫のフォロー。そう、今のまでの戦いだって、1人じゃやってこれなかった。


「あたし達でみんなを助けよう!!」


由貴が手を握る。コウも決意し、白虎真剣を取り出した。