由貴と町子は秋桜を描いていた。薄紫の淡い色彩が秋を感じさせる。


「これ、白とか混ぜてみた方がいいかな?」


「そうだね~」


つい先日までいがみ合う寸前であったが、一先ず何も触れずに過ごしている。
普通の日々が続いていることがおかしいくらいに平和で、それを疑わない。
時間も終わりつつ、片付けを始める子供達。そして…………。















゙グウォォォッ!!゙




















『!!!??』


突然、巨大な気が重くのし掛かってくる。コウは由貴と見合う。しかし、由貴だけでなく正夫達も感じたようだった。


「何なの、今の?」


「正夫達も感じた………いや、感じさせられたのかな」


敢えて巨大な気を振り撒き、気力を持っている者ならば感じるようにしているようだ。


「この気、ジューザやトランザみたいな、ハンパじゃない強さだ…………」


「それに、この方角…………どう考えても学校、だよね?」


『!!?』



5人は走って向かう。それに気づいた冴子は、眼鏡を直しながら叫ぶ。


「ちょっと、みんなどこ行くの!?」





















1組の優美は学校に残っており、当然気の重圧を感じていた。
近い。ふと、窓の外を見る。この時間、体育をしている学年とクラスはないため、その目視は速やかだった。
黒い衣装を着た長身の男と、虚無僧。日中の小学校には似つかわしくない者がグラウンドに立っていた。



(ゴーマ…………何で、ここに?)


マズい。今は授業中で、転身すればクラスや学校のみんなにバレてしまう。



















「これが、今の時代に子供へ勉学を教える場か」


現代社会に関心を示しながら、典韋は上空へ妖力波を放つ。
それが拡散し、若葉台小学校を包む結界となったのであった。


「あなた達は何ですか?」


教務主任の林田が向かっていく。優美の他にも気づいた児童がいるのか、授業そっちのけで見ている者が多かった。


「勝手に入ってこられては…………」


「うるさい!」


虚無僧は一気に正体を現す。頭部は1本のチェーンソー、肩に草刈り用のカッターのような刃、胸に一つ目の怪人に変化したのだった。


「チェーンソー僧侶!」


「う、うわぁぁ…………ギャァァァァァッ!!」












゙ヴゥオオォォッッンッ!!゙








゙ズハッ!ガガガガガッ!!゙















『わああぁぁぁぁぁァァァッッ!!!!!』


学校中から悲鳴があがる。もちろん、優美もその一人だ。
林田の肉と骨が、高速回転する刃によって削られていく。
ボトリと胸から上が落ち、血が池のように拡がっていく。