「うわあぁぁァァッ!!」


「ギャァァァッ!!」


街中では、同じように人々が壁や車に埋め込まれる現象が起きていた。
通学時間のため、若葉台小学校の児童も少なからず巻き込まれ、道路には数人の子供が埋め込まれている。


「あ、美智子ちゃん………」


「今はゴーマ怪人を斃すことを考えよう………そうすれば、みんな戻るさ」


コウ達は走っていく。すると、前方に地面から巨大な刀が3本現れた。


「何だこれ?」


それは実体ではなく、幻であった。回転していき、その範囲にいる女子高校生も回り始める。


「キャァァッ!」


周囲のゴミ箱が引き寄せられていく。中のゴミまで溢れ、一緒に回転していく。それは女子高校生に付着していった。
やがて幻が消え、女子高校生はバタリと伏せてしまう。恐る恐るコウ達が見に行くと、その女子高校生にゴミが埋め込まれている。


「ひどい………あんまりだよ………」


由貴は吐き気すらする。自分なら耐えられない。



「フフ…………。いやあ、混ぜるのは楽しいですねぇ」


2人の前に現れたのは、頭部から胴にかけてガラス状のカプセル、躰は青色、右腕はスイッチのようなものになっている。
更に、特徴的な一つ眼が胴の部分に付いている。間違いなくゴーマ怪人である。


「ゴーマ!!」


「私はミキサー詐欺師。世の中のために、色んなものを混ぜているのです」


「世の中のため?そんなわけないでしょ!」


「ふふ………ですよねぇ。何せ、私は嘘つきなもので」


ミキサー詐欺師はボタンを押す。すると、コウと由貴の周りに刃の幻が現れる。


「君達も、混ぜちゃいましょうか」



「やべ………」


刃が回転し始める。2人の躰が浮き始め、回転してしまう。


「ああァッ!」


「由貴ちゃん、転身しよう!」


「そ、そうだね………気力!」


「転身!」


『オーラッ、チェンジャァァァァッッ!!』


転身し、2人は手を繋ぐ。ホウオウレンジャーは左手に気を集め、地面に向けた。


「゙一文字竜巻!!゙」


地面に向けで一文字竜巻゙を放つ。すると、拡散して風のトランポリンとなり、2人を刃の領域から外に弾き出した。


「ダイレンジャーキッズだと!?」


ミキサー詐欺師が慌てめく中、リュウレンジャーとホウオウレンジャーは武器を持って向かっていった。





















若葉台小学校では、数名の児童が家を出たのにかかわらず、登校してこない事で教師が創作をしていた。
変質者ないしは怪人が目撃されてることから、児童を外に出すわけにはいかない事になった。
当然、他のキッズはゴーマの仕業で、怪人とコウ達が戦っていることも気づいていた。


「無理矢理行こうぜ!」


血気盛んな健一は、足早に向かおうとしている。


「駄目だって!今は先生も見張ってるし…………」


「じゃあ、コウと由貴ちゃん、みんなを見捨てるのか!?」


制止する正夫に、健一は抑えきれない気持ちをぶつけてしまう。
それとは裏腹に、町子は静かに考えていた。


(コウと由貴ちゃんが………なんで…………)



まただ。あの台風の日と同じ。後から聞いて、2人が戦ったことを羨んでしまう。
なぜ由貴なのか。なぜ自分ではないのか。煮え切らない想いを、町子はただ自問自答のようにループさせていた。