「………!!?」


はっきり言って、美しいとは言い難く、恐ろしい姿の怪人。


「見ろ………俺の本当の姿だ………。怖いだろ?」


リンは首を横に振る。


「憎いだろ?」


まだ首を横に振る。


「例え高村さんがゴーマでも、高村さんが高村さんであることに変わりはないアル………」


2人で撮った写真を見せる。いつも胸にしまい、御守りにしていたものである。


「優しさが伝わる…………高村さんの愛も………」


そう言って、リンはメディア魔術師の手を握る。今、リンの中にダイとゴーマという境目は存在していない。
ただの人間・高村翔一郎という個人への愛情だけだった。


「リン…………」


翔一郎の姿になり、リンと見つめあう。ゴーマに生まれながら、敵のダイを愛してしまうだなんて。
手を握り、互いに近づいていく…………。















゙バチンッ!゙














『!!?』


砂浜に火花が散る。2人が振り向くと、そこにはガラの姿があった。


「メロドラマはもう終わりよ………」


「ガラ!」


「メディア魔術師、愛する心が芽生えた時、お前は既に死を選んだのだ!」


ゴーマにおける愛は禁忌。それがダイに向けられるなど、もっての他である。


「ガラ、高村さんは渡さないアル!」


オーラチェンジャーを突き刺す。しかし、気力がスパークせず、戸惑ってしまう。


「転身しない?」


もう戦うどころか、生命力を維持する最低限しかリンに気力は残ってはいない。

「フン、最早鳳凰連者の命は風前の灯火か…………死ね!」


妖力波を放つガラ。それを、メディア魔術師が剣で弾く。


「リンに手出しはさせない………」


「メディア魔術師!お前の力では私には勝てん!」


メディア魔術師は能力は特殊ながら、攻撃力や防御力等のステータスは低い。
初見のダイレンジャーはかかったものの、決定打がないために斃せなかったのも、そのせいである。


「確かに俺の力だけではお前に勝てない。だが、俺はリンと共に戦う!!」



『!!?』


「はああぁぁぁぁ…………」



実は、メディア魔術師は対ダイレンジャーのために、リンの気力を振り撒きつつ、自分にも吸収していたのである。
気合いを入れ、吸収した気力をオーラのように現し、壁にした。


「オーラ…………マスク!!」


翔一郎の姿に戻り、気力の壁へと入る。通過すると、黒と赤の歪んだマスクが装着され、ダイレンスーツに似たメディアマスキースーツを纏った。


「お、お前は…………」


「俺は光戦士・メディアマスク!!」


メディアマスクは手を合わせる。これは体内の気力を高める゙メディアテーション゙である。
擬似的に気力と妖力を混ぜ合わせ、亮の父である張遼のような破壊力を生み出せるのである。


「゙マスキーフラッシュ!゙」


右手から気力と妖力を合わせた光波を放つ。ガラは自分の妖力波で迎え討つも、威力負けして攻撃を受けてしまう。


「ううっッ!」


「どうだガラ!。これが愛のソルジャー…………メディアマスクの力だ!!」


イケる。ガラを斃し、リンを守り切れる。


「ガラ、トドメをさしてやる!゙マスキースラッシュ!!゙」