テレビ局に到着した亮達。手前の画面を見ると、既にリンは歌い始めていた。


「やべえぞ!」


将児は冷や汗をかきながら上がっていく。もし、この歌が終わってしまったら…………。









゙バチバチバチッ!゙










『!!?』



亮達の眼前で火花が散る。その後、ガラが立ちはだかった。


「もう放送は始まっている。鳳凰連者が死ぬ瞬間も近い………」


「そうはさせるか!」


亮達はオーラチェンジャーを使い、ダイレンジャーへと転身を果たす。




















ダイレンジャーとキッズ、両方が戦っている中、番組は進んでいく。


「言葉だけじゃ わかりあえないの………うっ…………」


目眩がして、クラッとする。脚もガクッとしてしまう。


(こんな時に貧血?)


リン自身は、それを気力の減衰と気づいていない。このアイドル生活には付き物の疲れだと思えていた。
それに、頑張らなくてはならない。愛する、翔一郎のために。


















「リン………」


翔一郎に後悔と自責の念が生まれていた。自分の命が削られているとも知らずに、挙げ句の果てにはそうした相手を愛しているとは。
というより、気づいてしまったのだ。自分がそう思う根底には、ゴーマとして禁忌の感情が芽生えたことを。


゙高村さんの写真………優しさが伝わってくるアル゙


゙我喜歓!。高村さんが好きだから!!゙



「……………俺は………何をしているんだ…………」


そう思った瞬間、翔一郎は走ってスタジオに入った。
リンの笑顔、声、仕草、想い…………それが頭を巡り、躰を動かしていた。


「カメラを停めろ!」


走りながら言い、ステージへとのぼり、リンの手を握る。


「高村さん!!?」


「話は後だ!」



力いっぱいリンを引き、自分の車に乗せて何処へと去っていった。
その様子は中継されており、ダイレンジャーはもちろん、ガラも驚いていた。


「馬鹿な………奴は何をやっている………」




















海まで来た翔一郎とリン。何も言わないため、リンには翔一郎の意図がわからない。


「どうしたアル?本番中なのに…………」


「……………作戦だったんだ。君をアイドルにして、メディアを通して気力を振り撒く………」


「気力………?。どうして高村さんが私が気力を持ってるのを知っているアルか?」











゙ザザァ…………゙



波が浜に寄せられる。





「俺は…………ゴーマなんだ!」





゙ザザザザァッ…………゙








「え…………」






世界の時間から、自分だけが取り残されたような感覚。波の音も、自分の吐息も聴こえない。
頭を廻るのは、翔一郎の告白。


「高村さんが…………ゴーマ………嘘アルよね?」


「嘘じゃない……………君の見てる今は………幻なのさ………」


そう言うと、メディア魔術師の姿になる。