「く…………くそ、大連者め………」


メディア魔術師は、高村の姿へと変わる。今はクリエイター・高村翔一郎に扮し、番組を成功させる。
それこそが本来の作戦を成功させることになるのだ。

゙カチャッ゙



「早上好、おはようございますアル~」


「り、リン!?」


本番前だというのに、なぜここに?


「高村さんの顔見たくて来ちゃったアル。ん?」


ふと視線を広くすると、翔一郎の腕から血が垂れている。


「どうしたアルか!?。ひどい怪我ネ!!」


「大したものじゃない」


「いや、どう見たって重症アル!!」


リンは自分のタオルで翔一郎の腕を吹き、更にハンカチを結んで止血の応急処置をした。


「!?。な、何を?」


「ちゃんと、病院に行くアル」


そう言うと、リンは扉を開いて出ていこうとする。


「リン!!」


「?」


「何で、そんな笑顔でいれるんだい?。君はもう………フラフラのはずだ………」


確かに疲れているし、辛いときもある。


「だって………」


リンは出ていく。しかし、再びドアを開け、笑顔で口を開いた。


「我喜歓!。高村さんが好きだから!!」


そう言って、リンは本番生放送に向かっていった。


「俺を………好き………」

馬鹿な。ただ、アイドルにスカウトしたされたの関係だったはず。
モヤモヤした感覚は何だろう。今のリンがおかしいのではない。自分がおかしいのだ。










キッズ達は収穫無しに集合した。ふと、局内放送のテレビを見ると、リンが映っていた。


「リン姉ちゃん!」


「くそ、放送が始まっちまった!」


何をやっているんだとばかりにキッズは急いで放送が始まった29階へと向かう。
しかし、エレベーターのボタンを押しても動かない。


「何でなの!?」


「ここは7階………上がるには遠すぎるよ………」


階段ではキツい。立ち往生してる暇はないのに、立ち止まってしまう。



゙バチバチッ!゙


『!!?』


エレベーターから電流が溢れる。キッズの周りで火花が散り、怯んでしまう。


「メディア魔術師の作戦を邪魔させん」


後ろを向くと、パソコンのような怪人が立っている。


「お前はゴーマ怪人か!?」


「俺はパソコン奇術士!。今の人間社会に普及するインターネットを使い、メディア魔術師の作戦を補助している」


「やっぱり、この放送自体が作戦なんだな?」


確信を持って、キッズ達はオーラチェンジャーを出す。


『気力転身!!!!!!』


















「次は、最近活躍中の新生アイドル・リンさんの゙風の戦士゙です」


司会に言われ、リンは舞台に立つ。緊張する。しかし、自分には頑張ると決めたこと・そのための支えもある。


「…………ふぅぅ………」


深呼吸して、リンはマイクをONにして前を向いた。カメラが向き、準備をした。


「みなさん、私の歌を聴いて欲しいアル!」



会場が拍手に包まれる中、リンは口を開いた。



「指先………」