「リン姉ちゃん、アイドルになっちゃうなんてなぁ」


健一がランの買ってきた写真集を開く。見ているのはセミヌードの場所で、思わず赤面する。


「どれどれ」


由貴が覗く。しかし、ページがページだけにチラリと健一に視線を向けてしまう。


「やっぱり、健一君は男の子だね………」


「ち、違うよ!たまたま開いただけ…………」


由貴の顔を見ると、引いているのがわかる。勘違いというのは恐ろしいものだ。


「しっかし………急に何でアイドルなんだろねー」


クッキーを食べながら、町子は写真集を健一から取り上げて見る。
スタイルが良いため、これは売れる。


「僕もよくわかんないんだ………急に゙撮影にいってくる~゙、って言ってたんだよ」


コウはアイスティーを飲む。その後、やや考えた様子であるため、優美は気になった。


「他に何か気になるの?」

「リン姉ちゃん疲れてるのか、気力が弱ってきてるんだ」


「それは気になるな………」


キッズ達は顔を見合わせ、頷きあった。


















「アイドル?大袈裟アルよ~」


ランニングをするリンに話しかけているのは、他の4人だった。


「いやぁ、マジでビックリしたよ!。何か、可愛すぎてリンじゃねぇみたいだった…………」


将児が茶化すように言うと、亮達もうんうんと頷いた。


『アハハハハハッ!!』



「もうっ…………みんなひどいアル!!」


怒った顔をするリン。それを見て、大五はふとある変化に気づいた。


「何か、少し痩せたんじゃないか?」


一回りとまではいかないが、ほっそりしたように思える。


「痩せて一段と魅力が増したアルよ!」


状況を肯定するリン。あの雑誌といい、写真集といい、スケジュールがハードなのかもしれない。


「でも、可愛く写るのも必要なものが…………それは………゙愛゙………」


『愛!!!?』


四人が驚く中、リンは腕時計を見る。


「あ、これから歌のレコーディングをするアルよ。みんな、再見(またね)!!」

『レコーディング!?』


そう言って、リンはその場を去っていった。まさか、歌手デビューまでするとは思っていなかった。
















スタジオ入りしたリンはマイクに口を近づけ、歌詞を口に出し始めた。


゙指先まで震えてる もう黙っちゃいない(著作権的な意味な大人の事情で中略)゙


この歌手デビューも、翔一郎のプロデュースである。リンの頭の中に、撮影した時が回想される。
チァイナドレスを着たり、水着を着たり、翔一郎と一緒に写真を撮ったり…………



゙Fly high my Destiny 負けられない 狙いを定めて 旋風起こすのよ゙




多くの人がサインや握手を求めてくる。でも、それはすべて翔一郎に捧げたい。
あらゆる声援も、自分の恋愛に対する天使のラッパのように思える。




゙Fly high my Destiny 傷ついても 激しい火花に 華麗に飛び込んで見せる゙