秋らしくなってきた。買い物の帰り、リンは秋を楽しんでいた。
まだ暑さが残るものの、服は長袖を着る日もチラホラとある。


「秋らしくなってきたとはいえ、アイスを買わなくて良かったアル」


まだ溶けてしまったりはするだろうし、この間の台風の時の事件で゙卑猥なもの゙に見えてしまう。



「全くコウは不埒アル!」

誤解とはいえ、あの2人を不用意に接近させれば、いづあなたと合体したい゙するかわからない。


「帰ったらバイトに行く準備もしないと…………」


時間はあるが、荷物が多くて中々進みにくい。
ふと視線を上に向けると、樹の枝に小鳥が止まっている。しかし、様子がおかしい。


「!?。羽を………怪我している?」


ばたつかせながら、賢明に飛ぼうとしているのがわかる。けれども、無理に飛ぼうとしていて、余計に消耗していく。
やがて、痛みと疲れが出て、小鳥は落下していく。



「危ない!」


リンは買い物袋を放り出し、両手で掴もうと伸ばす。よし、届く。
この小鳥を助け出せる。

















゙パサッ゙










「え…………」


自分の掌に乗っているのは鳥ではない。小鳥を守った上で、他に掌があった。
見上げると、見知らぬ男性の顔がある。












―――――出逢いはあまりにも突然で……………
















男性は小鳥に治療をした。薬を塗って、巣に返してやる。


「これで、大丈夫だよ」


優しく、甘いマスク。リンは知らぬ間に男性の微笑みに赤面していた。
何故か、心が騒ぐ。大連者のメンバーどころか、中国にいた頃にも抱いたことのない、沸き上がる衝動。


「どうかした?」


「!?。な、何でもないアル!」


つい見とれてしまったようだ。男性は小鳥を無事に巣に返し終わる。しばらくすれば、飛べるようになるだろう。


「良かった……」








゙パシャッ!゙





「?」


音がする。ふと見ると、横で男性がカメラのシャッターを切っていた。


「ごめん。笑った顔、凄い可愛くて」


「え!!??」








―――――ちょっぴり、少女漫画してました















「その笑顔、俺に貸してくれないか?」


男性はそう言うと、ケースから名刺を出す。








゙メディアクリエイター・高村翔一郎゙











高村翔一郎、それが男性の名前だ。


「高村………さん………」













―――――私の胸、ときめいちゃったみたいです






















朝日を受けながら目覚めた亮は、妹の洋子と共に朝食を食べていた。


「あ、お兄ちゃん」


「ん?」


「この雑誌に乗ってる人、お兄ちゃんの知り合いじゃない?」


どれどれ、と亮は洋子から渡された雑誌を見る。


「……………んんッ!」



口に含んでいた米を吹き出しそうになった。


「こ、これは…………」