港のコンクリートには大型の穴が出来ていた。強い風によって、煙は吹き飛び、ホウオウレンジャーが姿を現した。


「うう………」


゙スピン・パラソレイユ゙でダメージを受けてしまった。とはいえ、直前で気功波で弱めたのが正解だったようだ。


「しぶといなぁ、君は」


パラソル騎士団長はパラソランスを構える。すぐさまホウオウレンジャーも青龍月刀で対応し、斬り合う。







゙カキンッ!゙









゙キシンッ!゙









素早い突きにも慣れてきた。刀で受け止めず、受け流せばいいのだ。点である突きは、方向さえずらせばいい。


(相手の息が読めてきた…………)


パラソランスの切っ先をずらし、青龍月刀を一回転させる。


「青龍月刀・゙旋風斬り!゙」


本来は大輪剣で使う技だが、回すことで風を纏わせる。その軌道でパラソランス弾きながら、斬りつける。

「うぐッ!」


パラソランスが胸を押さえる。距離を置き、両者は相手を凝視する。


「フ、フフフ。剣士は刀を打ち合うと、それを通じて相手の感情を読み取れる。君は実に正直な太刀だね」


「?」


「君は生来、戦いを好むわけではなさそうだ。しかし、深層心理では力を求めている」


「え………」


前にも、゙ジェットマンの世界゙で戦った女剣士アイリーンにも言われた事がある。


「戦うために力が欲しいのか、力を得るがために戦うのか。君の言う守ることも、結局は力が無ければできない………」


「何が言いたいの?」


「君は戦いを楽しんでいる。ギリギリの死線の中で、相手を斬って自分の力を確かめたいのだよ」


「!!?。…………そんなこと…………」

















゙ザバアァァァァァッッ!!゙











「!!?」



巨大な音がする。海を見ると、壁のように立つ何かがある。


「始まったか。もうじき、ここに津波がくる」


「そんな………」


ということは、リュウレンジャーは敗けてしまったのだろうか。
ホウオウレンジャーは何が出来るか思いつかなかった。あれだけ巨大な津波をどう防げばいいのか、わかりはしない。


「このままじゃ、街が飲まれちゃう………やめて!」


「俺にもどうにもならん」

「……………!!」

















龍星王は眼前に迫る津波を前に、両手を出した。


「龍星王、僕は全部の力をお前に預ける。だから、お前も力を貸してくれ!!」


゙天宝来来の玉゙が輝き、リュウレンジャーは気伝宝珠へと全力で気力を注ぐ。
数々の戦いを経て、爆発的な気力を高めたため、龍星王は紅く発光する。


「はああぁぁぁぁぁ……………」


両腕に気力を集め、前面に向ける。


「ヤァァァッ!!!」



気力の波動が波紋として拡がり、津波に向かう。迫りくる巨大な水の壁は止まり、膠着状態になっていた。


「うおおおぉぉぉりゃぁぁぁぁァッッッ!!!!!」


グンッッ!、と気力を解放し、津波を押し返した。2体の怪獣まで流せなかったが、何とか防ぎきった。


「はぁ…………はぁ…………」