テンマレンジャーが投げると、キッズ達はほぼ一斉に前進してくる。



゙カキンッ!゙



打った球が転がっていく。強い回転をかけ、飛ぶ方向をコントロールしたのである。
それをセンターの鳳凰連者が拾い、二塁を踏む。空かさずファーストへ投げ、シシレンジャーが掴む。


「大五お兄ちゃん!」


シシレンジャーが投げたボールがキャッチャーへ向かう。獅子連者が掴むと飛び込んできた少年をタッチした。


『よっしゃァァッ!!!』


意外な顔をする少年達。実は、前進したのはフェイクなのだ。
後ろにいるショートやセンターの注意を逸らすためのものだったのである。


「よし、このまま行くぞォォッ!」

















次の回からは、ホウオウレンジャーの゙居合い打法゙で変化するギリギリに対応し、ムービングファストボールを破る。
また、リュウレンジャー達も変化に対応して打てるようになっていた。
そうしてる内に回を重ねていき、六回の表になっていた。


「ん?」


リュウレンジャーはふと違和感を感じた。


「どうした?」


「みんなの気が弱くなってる………」


少年達は息切れをしている者が多かった。確かに疲れてはくるが、このような激しい苦しみはおかしい。


「何だろう………」


外見に変化はない。恐らく、別の要因があるはず。


「負担がかかるのかも…………」


ホウオウレンジャーがズバリと言う。



「妖力で躰を強化してるんでしょ………。あたし達は、ダイレンスーツで調整してるけど、生身だったら………」


「そぉぉぉのとおぉぉぉりだッ!!」


バット監督が回答する。ホウオウレンジャーの読みは正しかったのだ。


「マトモにやれば、君達にはかぁぁぁてんッ!。力を強化し、野球を通してゴーマの尖兵とすぅぅるのだァッ!!」


「何を馬鹿な事言ってんだ!?。そしたら、みんな死んじうだろう!」


テンマレンジャーが反論する。しかし、グローブ指導員が掌をかざす。


「ノン、ノン!。死ねば代わりがきくだろう?。何せ子供は山ほどいる。そして、子供を喪うのが怖くなった大人達はゴーマにひれ伏すのだァァッ!!」



(な、何てゴーマらしい作戦なんだ………)


リュウレンジャーは呆れたような気がしながらも、白虎真剣を抜いた。


「お前ら………」


「待ちなさい!試合を中断すれば、あの子達は死んでしまいますよ!!」


『!!?』


試合を止めれば、少年達が死ぬ…………。しかし、代わりに続ければ衰弱していってしまう。


「くそ………もう打たせれない………」


守備以外で動かないようにするには、もう当てられないボールを投げるしかない。


「俺のはもう打たれてるし………投げれる奴、いるか?」


キッズ達に問うテンマレンジャー。しかし、野球経験が乏しい為にいない。


「よし、俺がやろう!」


手を挙げたのは獅子連者だった。