「ちょっと、恭介おかしいよ!」


キリンレンジャーの主張は当然理解しているが、問題はそこではない。
恭介のムービングファストボールやチーム全員の能力が強化されてる等、ただ勝つにも難しいことなのである。


「落ち着けばムービングファストボールも打てるはずだよ。今は守備に集中しよう」


リュウレンジャーに諭され、散ってポジションに着く。ピッチャーはテンマレンジャーが、キャッチャーは獅子連者が担当する。


「健一君、頼むよ」


「うん!」


リュウレンジャーとシシレンジャーよりは野球に精通しているテンマレンジャー。
少年達が妖力で強化されてるならば、こっちは気力で強化されている。


(気力技を使わなくたって、ダイレンジャーの力を使えば十分魔球だ!)



振りかぶり、ボールを投げる。もの凄い速さだが、打者は合わせてくる。
すると、ボールは直前で右斜めに落下し、バットを避けてミットへと入った。


「これが゙電撃スライダー゙だ!」


普通のスライダーよりも若干斜め下へと落ちるだけだが、切り替わりが急な為に電撃の名が付いている。


「よし、その調子だ!」


「おう!もう一球………」



















゙カンッ!゙












『!!?』


バントに切り替え、゙電撃スライダー゙は弾かれる。獅子連者が拾い、ファーストのシシレンジャーへと投げる。
しかし、思ったよりも少年が速く、出塁を許してしまう。


「く………なぁに、次は………」















゙カンッ!゙












゙カンッ!゙

















゙カキィィンッ!゙















二番打者以降、ストレートと混ぜ合わせて使っだ電撃スライダー゙は敢えなく攻略されてしまった。
また、先制点を許してしまい、キッズ達は焦り始める。


「ちくしょう!」


「さっすが、野球を普段からしてるだけはあるよね~」


「呑気に構えてる場合じゃねえぞ!」


リュウレンジャーは呑気にしてるわけではない。今も、抑えるための策を考えている。


「打たせよう……一気に3人を併殺すればいい」


「え!?」


突拍子もないことを言い出したリュウレンジャー。併殺は2人ならまだしも、3人をするのは困難である。


「いい?これは……………」


考えを聞き、各々がすべき事を理解する。テンマレンジャーも納得し、散っていく。