まだ夏の暑さが残る中、トンボが空を飛ぶ。秋が近づいている証拠だ。
それに伴って、゙スポーツの秋゙という言葉のように、真夏より体を動かしやすい。









「ばっちこぉぉぉいッ!!」









学年別スポーツ対抗戦。4年生はソフトボールである。
声を上げたのは、3組の野球少年こと、恭介。野球に近いため、張り切って取り組んでいる。
相手は恭介と同様に、゙若葉台アベンジャーズ゙属する者が多い1組である。


「頼むぞ、悠太!!」


3組のピッチャーは恭介と同じく野球をしている悠太。周りを見て、ボールを投げる。
ボールは低空を進み、バッターの眼前で浮き上がった。









゙バシッ!゙












ストライクを取る。この調子で1組を抑え、0―0で9回表(3組の攻撃)になっていた。


「まさか、0―0とはな…………」


「次のバッターは?」


クラス全員を参加させるため、一試合事にある程度のチームメイトが変わっていくために打順でもパッとは出てこない。
全員が見る中、スポーツキャップを被っている少年がバットを握る。


「僕があの1組を打ち崩してやるさ」



「おお、コウか!」


総合得点で順位をつけるため、野球・ソフトボールをしている子以外にも、複数回試合に出場するのもいる。
コウは前々回の4組との試合でも活躍をしていた。クラスの期待をバットに向かう。



「さて……………やるかな」


バントの構えをするコウ。ピッチャーはソフトボール゙若葉台ファンタスティクナイン゙に所属すり智佐子。
いきなりバントとは、期待外れもいいとこだ。


「……………ヤァッ!」


投げられたボール。早い。コウは小さな声を出しながら、バットを持ち変えた。


「吼新星・゙やまびこホームラン゙……………カキィィィィィィンッッ!!!!!」



一転、バントから打ちにいった。もちろん気力は使ってないが、気合いをいれるために言っているのだ。


「みんな、バック!!」



智佐子の声で、1組守備陣は下がる。しかし、ボールは落下をせずに、校舎の開いている窓から中に入ったのだった。


「よっしゃぁぁァッ!!」

喜ぶ恭介。その後も野球チームや健一が点数を取り、4点を取る。勝利を確信していたのだった…………。


















「っ………なんでだよぉぉッッ!!」


ボードに記されたのは4―5。まさかの逆転負けだった。
恭介は悔しがっており、ある人物を睨み付けた。


「裕典!」


「え!?」


「お前がエラーしなきゃ、俺達は勝ってたんだ!」


裕典は恭介と同じく、野球チームに所属している。体は太りぎみで、体格を活かした打撃力は強く、バッターとしては優秀だった。
しかし、捕球は苦手で、キャッチャーを任せられても交代。足の遅さもあり、守備はザルという。
そのせいか、裕典は補欠扱いになっている。