鎖紐男爵夫人は右腕全体を゙熱鎖゙にして、より強く絞めていく。


「ホットでしょぉ?ホットでしょぉ?オーホッホッホ!」


勝利を確信し、高笑いをする鎖紐男爵夫人。リュウレンジャーからは煙が上がっており、ダイレンスーツが溶解し始めているのである。


「オーホッホッホ!」
















゙ビキッ!゙
















「わ、ワイっ?」



右腕にヒビが入った。リュウレンジャーは何もしてないし、他のキッズが助けたわけでもない。


「い、イフ(もし)かして……」


さっき、白虎真剣と弾きあった時には…………。たったの一撃だったはず………。


「お前、さっき紐男爵の痛みを僕らに返すって言ってたよな………」


「!?」


「お前は紐男爵の恨みを抱えてるのはわかる。けど…………僕らは、みんなの笑顔を守るために、負けるわけにいかないんだよォォッ!」



リュウレンジャーの叫びに応え、白虎真剣が飛び、鎖のヒビを突く。すると、砕けちっていった。


「ノォォォッ!」


千切れた右腕を押さえる鎖紐男爵夫人。脱出したリュウレンジャーは白虎真剣を持つ。


「サンキュー、白虎!」


「へへっ。さあ、さっさと決めようぜ!」


「うん!」


リュウレンジャーは白虎真剣を一振りし、天に向ける。


「天火星・゙稲妻炎上破!!゙」


天より稲妻が降ってくる。鎖紐男爵夫人はそれを受け、全身に痛みと電流が走った。


「アババババババッ!!」

続いて、リュウレンジャーは白虎真剣の剣先を向ける。剣先から炎を放ち、鎖紐男爵夫人へ直撃させた。


「いぃぃぃやぁぁぁぁァァッ!!!」


炎を受け、吹き飛ぶ鎖紐男爵夫人。奇しくも、それは紐男爵と同じ様になっていた。
倒れ、悶えていると、がんじ絡めになった腹部の鎖が千切れていく。すると、モヤが現れ、そこからさらわれていた子ども達が解放されたのだった。


「コウ!」


他のキッズ達もかけつけ、子ども達に駆け寄る。全員気絶をしていたが、徐々に意識を取り戻した。


「ダイレン………ジャー?」


まさか、憧れのヒーローが助けてくれるとは。理沙はやや感動をしていた。
しかし、キッズ達は喜んでいられない。鎖紐男爵夫人はまだ生きている。


「こ、こうなってしまったら………ファントムボール(隠し玉)よ!」


状況が悪くなり、遂に鎖紐男爵夫人ばあるもの゙を取り出した。


「巨大化…………」


巨大化爆弾。ゴーマが自身を巨体にするために使う、奥の手である。
安全ピンを外し、爆弾を自分の下へと投げつけた。


「ばぁぁくだぁぁぁぁんッッ!!」















゙ドヴゥン!!゙















゙ズゴォォォ!!゙















爆発が拡がり、収束をする。生じたエネルギーを吸収し、鎖紐男爵夫人は巨大化したのであった。


「お、やっぱ巨大化したか………」


テンマレンジャーは久々の巨大化爆弾に感心すら覚えてしまう。


「まずい、みんなを逃がさないと…………」


自分達はともかく、子ども達を逃がさなくてはならない。
そう思っていた時、紫色の光線が鎖紐男爵夫人を撃ったのだった。


「あれは………」



光線を撃ち出したもの、飛来したのはクジャクレンジャーが乗る麗孔雀だった。

『優美ちゃん!!?』


「ごめん!大五お兄ちゃん達と、鳥カゴ風来坊と戦ってたの!!」


実は、亮達のダイレンジャーも鳥カゴ風来坊と戦っていたのである。
将児が捕らわれたり、嘉栩が交渉に応じるか否かなどあったため、クジャクレンジャーはキッズ達と戦えなかったのである。