コウは2人と別れ、マンションに着いた。


「ただいま~」


台所に行くと、書き置きがあった。










゙バイトに行ってくるアル。冷やし中華が冷蔵庫にあるアルよ゙












うがい・手洗いをして、麦茶を飲みながら冷やし中華を食べるコウ。
大学は夏休みが長いのは知っている。また、リンの両親からの仕送りも多いのものの、自分がいるため・欲しいものがあるためバイトしているのもわかる。
冷やし中華を食べ終え、水に皿を浸した後、再び帽子を被って外に出た。



「ん?どっか行くのか?」

「なあ白虎………リン姉ちゃんって、何のバイトしてんのかな………」


「!!?。そういや、知らねえなぁ………」


コウはリンのバイト先を突き止めようというのである。幸い、毎年手を付けずに9月1日の午後にやっていた宿題は由貴のおかげで終わっている。


「まずは………」

















若葉台町におけるバイト先の定番、商店街。巡りながらリンがいないかを探していた。


「あれ?コウ、どうしたの?」


店番をしていた町子がコウを見つけた。


「リン姉ちゃんのバイト先を暴くんだよ」


「え?リンお姉ちゃんの?」


面白そうだった。町子は母に遊びに行くと言い残し、コウに付いていった。


「商店街でしてたら、あたしが気づくわよ。多分、ここらじゃないって」


「あ、そっか…………」


















2番目に訪れたのは、若葉台町の中華街。ここならば、中国人であるリンが働いてる可能性はある。
一番ありえるであろう、゙山海閣゙。裏口で、ある人物を待ち伏せする。


「…………出てきた!」


亮が裏口を掃除している。そこへコウと町子が駆け寄る。


「おう、コウ、町子ちゃん」


「亮兄ちゃん、この店でリン姉ちゃんがバイトしてたりしない?」


「え…………リンがバイト?ウチじゃねぇな………」


ヤマが外れた。仕方なく帰ろうとする。


「コウ君、町子ちゃん!」

『由貴ちゃん!!』


そこには由貴がいた。どうやら、亮に差し入れを持ってきたらしい。


「え?リンお姉ちゃんのバイト先?」


付いていく事を決めた由貴。隣にいた町子がややムッとしたのに、亮は気づいてしまった。


(これは…………修羅場ってやつか…………)
















他にもアンティークショップとかを廻ったが、いる様子はない。


「みんな、何してんの?」

健一と正夫が寄ってくる。何故かキッズが集合し、総力をあげて探していた。


「そういや、何か手がかりは無いのか?」


「うーん…………あ、そういやケーキを持ち帰ってきたりしてるな~」


「ケーキ屋さんとか?」


「いやぁ………手作りだけど、ケーキ屋じゃあなさそう………」


悩む間に、町子はスーパーマーケットから出てきた青年を見た。
手には袋があるが、生クリームの容器がはみ出ていた。その青年は自分達のいる場所の向かいにある喫茶店へと入っていった。


「ねえ、喫茶店ってコーヒーだけじゃなくて、ケーキも売ってたりするよね?」

『ん?』