「ハァ…………ハァ………」
「ま、待ってお兄ちゃん………」
燃え盛る街中を走る幼い兄妹。降り注ぐ光線をかいくぐり、何とか免れた。
街の至るところから、焼けた肉の匂いがする。バーベキューの時のように、涎が垂れるような美味しいものではなかった。
「姫乃!手を離すなよ……」
「う、うん…………」
少年は妹の手を強く握り直すと、全速で走った。息切れや疲れも気にしない。もし立ち止まれば………。
「お、地球人がいたぞ!」
『!!?』
ゴーミンが2人に気づく。少年の目には、幾人もの亡骸が転がっているのが見えた。
姫乃は吐き気を抑え、兄と一緒にゴーミンの銃弾を駆け抜ける。
(くそ………俺に力があったら………)
力があれば、銀色の雑兵なんて斃せるのだ。でも、そんな力はない。
「ハァ………ハァ……キャッ!」
瓦礫に躓き、姫乃は転んでしまう。少年は起こそうとしたが、そこへズゴーミンが光線を放った。
「うわぁぁッ!」
「いやぁッ!」
直撃はしなかったが、握っていた手を放してしまう。
「う………ひ、姫乃………」
痛みを堪えて、妹を探す。どうやら、同様に痛んでいるようだ。
「お兄ちゃん………痛いよぉ………た、助けて…………」
手を伸ばす姫乃。少年は無理をして起き上がり、走れない躰で急ぐ。
あと少しで、姫乃の下へ着く。あと少し、あと少し。
゙ドウンッ!゙
゙ドゥオオォォォンッッ!!!゙
巨大な爆発。少年は再び吹き飛ばされ、地面に打ち付けられた。
動かなくなった少年。それを見つけ、迫るズゴーミン。
「あ……あそこに子どもが!」
近くにいたオーレッド。空かさず走り、ズゴーミン達に剣を振るう。
「秘剣!゙超力ライザー!!゙」
3体のズゴーミンは一気に斬られ、爆発をした。オーレッドは少年を抱き起こす。
「君、しっかりしろ!。君!!」
「…………う………」
良かった。生きている。何とか安全な所へ………。
「ひ、姫乃………は?」
「え?」
意識を取り戻した矢先、少年は女の子の名前を口にした。
少年は痛む躰でオーレッドを振り払い、妹を探す。
「姫乃………どこだ!?」
燃え盛る街中で、少年は妹を探す。そんな時、ビルの中から小さな手が出ているのを見つけた。
「姫乃………姫乃………」
「お、おい君!」
オーレッドの静止も聞かず、少年は向かった。早く、早く、助けなくては。
「……………え?」
ビルから出ている手。それは姫乃のものだ。間違いない。では、
―――――これは何?
手のすぐ近くに転がっている死体。明らかに7、8歳の少女のものだ。
ピンク色のスカートは焼ききれ、下半身は露になっていた。
―――――姫乃と同じスカート?
上半身は二目と見れない程にグチャグチャになり、ミンチよりも酷かった。
顔は誰かも判別不可能な程に焦げている。しかし、何故かピンク色の髪留めだけは残っていた。
―――――姫乃のしていた髪留め………じゃあ…………゙これ゙は……
゙ウワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!゙
少年の絶叫が響き渡った。実は、頭では認識していたのだ。しかし、認められない部分が理解を送らせていた。
「あぁ………ぁぁ………」
少年は焼け残った髪留めを握り、泣き崩れた。
顔を上げると、天には赤い龍がいた。炎で姫乃の命を奪ったであろうザンギャックの戦艦を燃やしていく。
けれども、姫乃は帰ってこない。
「ウワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
少年は泣き叫んだ。己の無力を痛感し、それを憎んだのだった。
「ま、待ってお兄ちゃん………」
燃え盛る街中を走る幼い兄妹。降り注ぐ光線をかいくぐり、何とか免れた。
街の至るところから、焼けた肉の匂いがする。バーベキューの時のように、涎が垂れるような美味しいものではなかった。
「姫乃!手を離すなよ……」
「う、うん…………」
少年は妹の手を強く握り直すと、全速で走った。息切れや疲れも気にしない。もし立ち止まれば………。
「お、地球人がいたぞ!」
『!!?』
ゴーミンが2人に気づく。少年の目には、幾人もの亡骸が転がっているのが見えた。
姫乃は吐き気を抑え、兄と一緒にゴーミンの銃弾を駆け抜ける。
(くそ………俺に力があったら………)
力があれば、銀色の雑兵なんて斃せるのだ。でも、そんな力はない。
「ハァ………ハァ……キャッ!」
瓦礫に躓き、姫乃は転んでしまう。少年は起こそうとしたが、そこへズゴーミンが光線を放った。
「うわぁぁッ!」
「いやぁッ!」
直撃はしなかったが、握っていた手を放してしまう。
「う………ひ、姫乃………」
痛みを堪えて、妹を探す。どうやら、同様に痛んでいるようだ。
「お兄ちゃん………痛いよぉ………た、助けて…………」
手を伸ばす姫乃。少年は無理をして起き上がり、走れない躰で急ぐ。
あと少しで、姫乃の下へ着く。あと少し、あと少し。
゙ドウンッ!゙
゙ドゥオオォォォンッッ!!!゙
巨大な爆発。少年は再び吹き飛ばされ、地面に打ち付けられた。
動かなくなった少年。それを見つけ、迫るズゴーミン。
「あ……あそこに子どもが!」
近くにいたオーレッド。空かさず走り、ズゴーミン達に剣を振るう。
「秘剣!゙超力ライザー!!゙」
3体のズゴーミンは一気に斬られ、爆発をした。オーレッドは少年を抱き起こす。
「君、しっかりしろ!。君!!」
「…………う………」
良かった。生きている。何とか安全な所へ………。
「ひ、姫乃………は?」
「え?」
意識を取り戻した矢先、少年は女の子の名前を口にした。
少年は痛む躰でオーレッドを振り払い、妹を探す。
「姫乃………どこだ!?」
燃え盛る街中で、少年は妹を探す。そんな時、ビルの中から小さな手が出ているのを見つけた。
「姫乃………姫乃………」
「お、おい君!」
オーレッドの静止も聞かず、少年は向かった。早く、早く、助けなくては。
「……………え?」
ビルから出ている手。それは姫乃のものだ。間違いない。では、
―――――これは何?
手のすぐ近くに転がっている死体。明らかに7、8歳の少女のものだ。
ピンク色のスカートは焼ききれ、下半身は露になっていた。
―――――姫乃と同じスカート?
上半身は二目と見れない程にグチャグチャになり、ミンチよりも酷かった。
顔は誰かも判別不可能な程に焦げている。しかし、何故かピンク色の髪留めだけは残っていた。
―――――姫乃のしていた髪留め………じゃあ…………゙これ゙は……
゙ウワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!゙
少年の絶叫が響き渡った。実は、頭では認識していたのだ。しかし、認められない部分が理解を送らせていた。
「あぁ………ぁぁ………」
少年は焼け残った髪留めを握り、泣き崩れた。
顔を上げると、天には赤い龍がいた。炎で姫乃の命を奪ったであろうザンギャックの戦艦を燃やしていく。
けれども、姫乃は帰ってこない。
「ウワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
少年は泣き叫んだ。己の無力を痛感し、それを憎んだのだった。