採掘場を疾走する黒いバイク。凱はヘルメットを投げ飛ばし、視界を広げた。
後ろには、トランザが同じようにバイクに乗って迫ってくる。


「ちぃ……………しつこい奴だぜ!」


「貴様こそな、結城凱!!」


今や凱は、竜と並ぶジェットマンの柱。今までオブジェにしてきたジェットマンとは違い、一筋縄でいかない。
それは逆に、凱も自覚している。トランザは、恐らく他の仲間を石版に変えたのだろう。ならば、最後の防衛戦として、竜が来るまで時間稼ぎをしなくてはならない。


「らぁッ!」


バイクを乗り捨て、飛び上がる凱。



「クロス、チェンジャー!!」



空中でブラックコンドルに変身し、ブリンガーソードを手にトランザへと斬りかかった。


「ッツアァァッッ!!」


刃が迫る中、トランザは余裕の表情をしている。それは行動にも表れ、体重を傾けてバイクを回転ドリフト走行させた。
そのまま車体をぶつけ、ブラックコンドルをハネ飛ばした。


「グウォッ!」



弾き飛ばされ、岩壁へぶつかる。しかし、それで生じた粉塵を目くらましに、ブラックコンドルはバードブラスターを放つ。
光弾はバイクのエンジンに直撃し、大きな爆発を起こした。


「ほう、流石と言うべきか」



脱出しながら、トランザはブラックコンドルを評す。


「てめえは俺が………」


見向きもせず、ブラックコンドルはビークスマッシャーも取り出して連射する。
砂塵を裂き、光の筋がトランザへと向かう。



「そんなもの………」


トランザはメタルトランサーのボタンを押す。すると、周りの岩がトランザを軸に回転し始めた。


「!!?」


二丁の銃から放たれた光線は岩に軌道を阻まれ、破壊しつつ消滅してしまった。


「ビークスマッシャーの誘導を切るのは俺でも困難だ。しかし、回避できないならば回避せずに防げばいい話だ。」



「…………くぅ………」


「せっかくだ。お前に、この帝王トランザの本気の一端を見せてやろう」


不適に笑い、メタルトランサーのボタンを連続で押していくトランザ。
ボタン一つで機能していたのに、複数のボタンを押すのは不可解だ。


「できれば、これでダイレンジャー共を葬りたかったのだが………」


決着を着けれずに、この世界を去られたのはトランザとしては悔しい所だが、その憤慨はすべてジェットマンにぶつけるつもりである。


「ベロニカを破壊した罪を、裁かせて貰おう………」

トランザに起きだ異変゙は、すぐに気づいた。そして、どのようなものかも悟った。
これは、邪神と化したジューザやコウが見せだ怪物゙へ対抗するためのものだと。
かつ、力の差もハッキリと感じる。咄嗟にビークスマッシャーを構えたが、相手は前にいない。



「…………!?」


「どうした?お前程の奴なら、意識を集中すれば見えたはずだぞ?」


後ろから声が聞こえる。そう、考えたから気がそれただけ。
だが、捉えるのは別だ。



「絶望と共に散るがいい、ブラックコンドル!!」