「遅かったんじゃないか?ブルースワロー…………」
「!!?」
背筋に寒気が走ると同時に、アコはブレスへと手を伸ばした。
「クロスチェ…………」
振り向き際にブルースワローに砲門が向く。ハッとしたが、時既に遅く光線が撃ち込まれた。
「そ、そんな…………」
光が繭のようにブルースワローを包み、小さくなっていく。
「そ、そんな…………」
光が収束していき、ブルースワローは自らの面を形どったオブジェになってしまった。
それを回収したトランザは、メタルトランサーに収納して再び歩き出した。
残るはホワイトスワンとブラックコンドルのみ…………そのオブジェを見せ、レッドホークを絶望に伏すのが楽しみでならない。
竜と青年は、未だに谷間を脱出するに至っていなかった。
まだ完全に痛みが引いてるわけではないためか、歩く速さも低下しているのだ。
「く…………うわっ………」
泥濘が崩れ、竜は重力によって崖下に引かれていく。痛みが反射に勝り、落下を許してしまったのだ。
「クソォッ!」
「ヌウゥッ!!」
゙ガチッ!!゙
「!??」
落ちた、と思った瞬間、青年の手が竜を掴んでいた。
「ヌグウゥ…………」
ギリギリと竜の手は締め付けられている。それだけ、青年にかかっている負荷は激しいということだ。
「やめろ、君まで落ちてしまう!」
「貴様が落ちれば、お前の仲間はどうなる?」
「!?」
「戦士は倒れた仲間の分も戦わねばならぬ…………例え何度倒れようともだ!。貴様は戦士、俺も戦士だァァッ…………」
常人離れした気迫と唸るような声を山に轟かせ、青年は竜を引き上げた。
「ハァァ…………ハァァ……」
「あ、ありが………」
「礼など………いい。今は、トランザを斃すことのみを考えろ………」
そう言うと、青年は再び竜に肩を貸す。竜もまた、青年の並々ならぬ精神力に感服をしていた。内心では折れかけていた戦意も復活し、前を向いて歩き始めた。
デパートまで逃げてきた香。トランザがここを、しかも全階すべてを廻って見つけることはできないだろう。
平和な時は休日を楽しむ日だったデパートを、隠れ蓑にするとは思わなかった。
それにしても、あの戦火の中を良く残ったなと感心する。
゙バイラム・ウォー゙は無差別攻撃でなかったが、溢れ出した次元獸が襲った場所もある。このデパートも避難所として使われており、地下食品街には売れ残りお歳暮を解体した食品や缶詰めの無償提供を行ったらしい。
人があったかく見えるのは素晴らしいことだ。エレベーターに乗りながら、香はそんな風に考えていた。
「お客様。」
エレベーターガールの声がする。それにしては随分太めだと思い、振り向く。
「このエレベーターは地獄行きでございます。」
そこにはエレベーターガールのコスプレ、もとい服装をしたトランザが立っていた。
普段であれば、爆笑するか吐き気がするかだが、今はそんな暇などない。
「クロス、チェンジャー!!」
香はホワイトスワンに変身し、エレベーターのガラスを割ろうとする。
「させん!」
戦闘形態になったトランザは、ホワイトスワンのパンチを受け止め、払いのける。
その後、すぐにバイオガンを取り出して、砲口をホワイトスワンへと向けて放った。
「アァァァッ!!」
光線が命中したホワイトスワンは、光の繭に包まれ、やがてオブジェへと変化してしまった。
゙キィィィンッッ!!゙
エレベーターが開く。いつものように客が入ってくる。そこには、いつもと変わらない暮らしがあった。
もちろん、エレベーターの中の異常など、何もない。
「!!?」
背筋に寒気が走ると同時に、アコはブレスへと手を伸ばした。
「クロスチェ…………」
振り向き際にブルースワローに砲門が向く。ハッとしたが、時既に遅く光線が撃ち込まれた。
「そ、そんな…………」
光が繭のようにブルースワローを包み、小さくなっていく。
「そ、そんな…………」
光が収束していき、ブルースワローは自らの面を形どったオブジェになってしまった。
それを回収したトランザは、メタルトランサーに収納して再び歩き出した。
残るはホワイトスワンとブラックコンドルのみ…………そのオブジェを見せ、レッドホークを絶望に伏すのが楽しみでならない。
竜と青年は、未だに谷間を脱出するに至っていなかった。
まだ完全に痛みが引いてるわけではないためか、歩く速さも低下しているのだ。
「く…………うわっ………」
泥濘が崩れ、竜は重力によって崖下に引かれていく。痛みが反射に勝り、落下を許してしまったのだ。
「クソォッ!」
「ヌウゥッ!!」
゙ガチッ!!゙
「!??」
落ちた、と思った瞬間、青年の手が竜を掴んでいた。
「ヌグウゥ…………」
ギリギリと竜の手は締め付けられている。それだけ、青年にかかっている負荷は激しいということだ。
「やめろ、君まで落ちてしまう!」
「貴様が落ちれば、お前の仲間はどうなる?」
「!?」
「戦士は倒れた仲間の分も戦わねばならぬ…………例え何度倒れようともだ!。貴様は戦士、俺も戦士だァァッ…………」
常人離れした気迫と唸るような声を山に轟かせ、青年は竜を引き上げた。
「ハァァ…………ハァァ……」
「あ、ありが………」
「礼など………いい。今は、トランザを斃すことのみを考えろ………」
そう言うと、青年は再び竜に肩を貸す。竜もまた、青年の並々ならぬ精神力に感服をしていた。内心では折れかけていた戦意も復活し、前を向いて歩き始めた。
デパートまで逃げてきた香。トランザがここを、しかも全階すべてを廻って見つけることはできないだろう。
平和な時は休日を楽しむ日だったデパートを、隠れ蓑にするとは思わなかった。
それにしても、あの戦火の中を良く残ったなと感心する。
゙バイラム・ウォー゙は無差別攻撃でなかったが、溢れ出した次元獸が襲った場所もある。このデパートも避難所として使われており、地下食品街には売れ残りお歳暮を解体した食品や缶詰めの無償提供を行ったらしい。
人があったかく見えるのは素晴らしいことだ。エレベーターに乗りながら、香はそんな風に考えていた。
「お客様。」
エレベーターガールの声がする。それにしては随分太めだと思い、振り向く。
「このエレベーターは地獄行きでございます。」
そこにはエレベーターガールのコスプレ、もとい服装をしたトランザが立っていた。
普段であれば、爆笑するか吐き気がするかだが、今はそんな暇などない。
「クロス、チェンジャー!!」
香はホワイトスワンに変身し、エレベーターのガラスを割ろうとする。
「させん!」
戦闘形態になったトランザは、ホワイトスワンのパンチを受け止め、払いのける。
その後、すぐにバイオガンを取り出して、砲口をホワイトスワンへと向けて放った。
「アァァァッ!!」
光線が命中したホワイトスワンは、光の繭に包まれ、やがてオブジェへと変化してしまった。
゙キィィィンッッ!!゙
エレベーターが開く。いつものように客が入ってくる。そこには、いつもと変わらない暮らしがあった。
もちろん、エレベーターの中の異常など、何もない。