コクピットに緊急転送したトランザはグレイから再びメインパイロットに代わる。
人間達はいなくなったが、予備エネルギーを使って最大出力にする。


「行くぞ…………奴らを皆殺しにしてやる!」
















凱がもたしていたグレートイカロスに、ジェットマン達が戻る。


「凱、良くやってくれたな」


「へ…………一服しようと思ってたくらいだぜ………」


かなり疲弊している。レッドホークは気遣って嘘をついてるのに気づき、そんな凱の思いを無駄にしないために勝利への意思を固める。
凱もブラックコンドルに転身し、操縦に専念する。


「香、グレートイカロスの損傷率は?」



「69%ですわ………あと、黒い光線を2回もくらえば大破しますわ」



「そうか………長官、テトラボーイの調整は?」



スカイキャンプへ通信を入れるレッドホーク。その頃、綾はまだ調整を続けていた。


「あと少し、98%は完了してるの………」


それを聞いて勝機を見いだし、グレートイカロスの残るエネルギーを全て引き出す。


「よし、行こう!」


「!?。ねえ、あれ………」


ブルースワローが気づいた。キッズ達が走ってきている。


「あれ?みんなが2人ずつ?」


「もしかしたら、コウ君達の世界にいる、本物のダイレンジャーかも………」


イエローオウルがそれに気づいた。同時に、ダイレンジャー達も到着して天宝来来の玉を掲げる。





『甦れ!気伝獸達!!』







゙プィィィィン………パアァァァ………゙




ダイレンジャーの掛け声と共に、天宝来来の玉から光が放たれる。すると、気伝獸は目の輝きを取り戻して復活を果たした。


「よっし………久々だな、龍星王!」


こころなしか、喜ぶように鳴く龍星王。そして、ダイレンジャー達は天宝来来の玉の力を引き出す。


『五星合体!!!!!』


『王星合体!!!!!』




気伝獸達は合体し、ダイレンジャーが乗る大連王・キッズ達の乗る牙凌王になる。
トランザ達は2体が同時に存在していることに驚くが、余裕の態度に変化はない。


「何体いようと、このベロニカに勝つことなどできんわ!」



剣を振るベロニカ。それに対し、大連王は大王剣を抜いて打ち合う。
大きい金属音が鳴る。そこにグレートイカロスと牙凌王が加わり、手でベロニカを殴り始める。


「ぐ………」


スペックでは上のはずなのに、押されっぱなしになっていることにトランザは不安を感じた。
何度もシュミレーションを重ね、自分の頭脳の全てを込めたベロニカが負ける。
ありえない。そんなことはあってはならない。


「貴様らなぞに、やられてたまるかァァッ!!」


激昂するトランザに呼応し、ベロニカはすべての武装を発動した。
゙ダークレイズ゙どフェザースパーグが全方位に放つ。



『うわぁぁぁァァァァッッッ!!!!!』



流石にダメージを受け、3体は倒れてしまう。この時点で、グレートイカロスの損傷率は80%に達していた。
もはや、゙バードメーザー゙を一撃撃てば戦闘が不可能になる。


「く…………」













゙ピピピ……゙





「!?。長官?」


「みんな、調整が完了したわ!!」


テトラボーイに施されたコーティングは、゙バードメーザー゙を強化させるものである。
しかし、それを直接ベロニカにぶつけなければ効果は薄い。


「どうすれば奴に………」


「ジェットマン、俺達に任せろ!」



龍連者からの言葉。まだ直接は会っていないが、キッズ達の話によれば、信頼するに値する。
何より、キッズが信頼しているならば、それは本物なのだ。


「よし、頼むぞダイレンジャー!」



レッドホークの返事を聞き、大連王と牙凌王が立ち上がる。互いに気力を溜め、先ずは牙凌王が動く。
砲門を展開しながら歩き出し、ベロニカを大連王と挟み撃ちするように囲む。


「何をしようが、このシールドは突破できはしない!」


黒いシールドを出現させる。あれば一撃必殺゙でさえも弾く強固の盾である。


「トランザ、僕らの力は進化し続けるんだ………そう、絆の力で!!」



キバレンジャーの言葉、それは2組のダイレンジャーの力を信じたものだ。



『気力重砲・゙一撃必殺!!!!!!゙』


すべての砲門に気力が溢れ、一気に放たれた。空中にいる麗孔雀も、気力ビームを羽から発射した。
気力ビームば一撃必殺゙にまとわりつき、回転するように渦を巻く。



「…………来い!!」











゙ドゥヴォッ!!゙











「な、何だ!?」



予想外の事が起きた。゙一撃必殺゙は、ベロニカを過ぎて大連王に向かう。
それを、大連王ば疾風怒濤゙で受け止めた。


『゙王者ノ風!!!!!゙』



゙疾風怒濤゙ど一撃必殺゙。2つの技が合わさり、黄金の光がベロニカに向けられた。






゙ドゥインッ!!゙










ベロニカの黒いシールドにぶつかった。今までにはない質にして、かつてないほどの爆発的なパワー。
コクピットにいるマリアは、恐怖ではないものを感じていた。むしろ、懐かしい温かさ。母に抱かれているような、そんな温かささえ感じる。
かつては人間だったマリアのみなのか、トランザとグレイは慌てているばかりであった。







゙ビキビキビギ





「ま、まさか……」






゙キキ……キキ………゙





「馬鹿な………」









゙パリィィィンッ!!゙












゙ドゥヴォォォンッッ!!!゙







轟音が響く。そこには、両腕を失ったベロニカが立っていた。
あのシールドを叩き壊し、道を切り開いたのである。


「竜兄ちゃん、みんな、今だ!!」


キバレンジャーの声を聞き、グレートイカロスは残されているすべてのエネルギーを胸部へと集中させる。








゙ガチンガチンガチン!゙






テトラボーイが走ってくる。この時のために、準備した技。



「よし………」


『゙バードメーザー・テトラアタック!!!!!゙』









゙ドゥィィィンッ!!!゙








゙バードメーザー゙が放たれ、それに包まれたテトラボーイがベロニカに向かっていく。
もはや、何も守るもののないベロニカを、紅い閃光が貫いた。





゙ドゥヴゥッ!゙







閃光が消え、テトラボーイはバシッとガッツポーズを取る。
同時に、ベロニカに稲妻が走っていった。


「嘘だ………ベロニカが………」


確信があった。ベロニカで勝利する確信。それを砕かれたトランザは震えながらメタルトランサーのボタンを押した。














゙ドゥヴォォォンッッ!!!゙














ベロニカは爆発四散した。それを確認したジェットマンとダイレンジャー・キッズ、そして人類は喜びの声をあげた。




『やったァァッ!!』


旗頭を失ったバイラムは、世界規模で展開しながらも退却していく。
どちらにしろ、大きな犠牲を払いながらも、日本以外では人類が優勢だった。
大きな壁であったが、打ち破る事ができたのだ。




















゙ピュインッ!゙




ダモクレスに帰還した幹部達。玉座に座るトランザは、ふと額に手をおく。
すると、ベッタリと付くものがあった。


「……………血………この俺が…………フフ………アハハハハハハハッッッッ!!」


あれだけの戦いをしかけ、見事に敗けた上に血を出された。
プライドをズタズタに痛めつけられ、トランザは発狂したかのように笑い続けていた。















ボロボロになった街に、ダンは降り立った。由貴が言っていた、待っている人。


「……久しぶり………だな………」



「アイリーン………」


座り込んでいた。由貴を行かせようと、次元獣と戦い続けた。
ディメンシアンの戦士として。



「お前、由貴ちゃんのために………」


「…………フッ…………私は………私のために戦ったまで…………あの娘が取り戻してくれた誇りのために………」


ダンが見る限り、使っていたのはディメンシアンに共通の剣。


「…………でも、お前の罪は消えない………」


拳を握るダン。裏切られ、殺された想い人や仲間を思い出す。
許すことはできない。それを見て、アイリーンは予測していたような笑みを浮かべる。


「…………そうだろうな…………」


言葉が見つからない。ダンはモヤモヤしながらも、振り向いてしまう。


(………やっぱり、俺には………)


「…………ありがとう………」



「!?」


それを聞き、振り向いた。ダンは駆け寄り、アイリーンの手を握る。
例え許せなくても、憎しみは消えなくても、できることはある。


「アイリーン、ディメンシアンの同士として……………未来を守ってくれたことに、感謝する………」


それを聞けたかはわからない。しかし、アイリーンはうっすらとした笑みを浮かべながら…………。
彼女もまた、失った翼を取り戻したのだった。





















コウ達は迷っていた。次元の歪みを正さなければ、完全な世界再生はできない。
そのために、ダイレンジャーは仮面ライダーと共にスーパーショッカーを斃すという。
この世界を自分達で守りたい、そう言ったにもかかわらず、この戦いに参加すべきか。


「へ、お前らがいなくたって、俺達はやっていける。本来は俺達だけの戦いなんだからよ。」



凱がキッズ達に言う。本来の世界を守りたいのは当然だ。それに、自分の世界は自分達で守るという気持ちはジェットマンも一緒なのだ。


「………うん。僕ら、勝ったらまた来るから!!」


頷くジェットマン達。キッズ達は、ライダー達が次元移動に用いるオーロラを抜けていく。




「天堂さん、あの子達はどうだった?」



残っていた亮は竜に尋ねてくる。やはり、他の世界の人の意見も知りたい。


「彼らは……………ダイレンジャーだった。」


「…………そうですか………」



「君達とも、一緒に戦えたことを誇りに思う」


「俺もです。…………また、いつか!」

嬉しそうに笑い、亮もオーロラを抜けていく。オーロラが消滅し、この世界のヒーローばジェットマン゙のみに戻った。そう、本当に歴史を戻すための戦いを、彼ら自身がするのである。
そのために、竜と凱は約束の盃を交わす。砂糖抜きのホットミルクと、マッカランのロックで。









つづく