狂気染みた笑いをして、ピケルはジゲンΩにとけ込んでいく。
すると、眼が光り、拳を突き出してきた。



「え………ちょ……」






゙ブオッ!゙












゙ドズゥゥンッ!!゙






地を砕き、拳が突き刺さっている。砂ぼこりというには規模が大きい煙が巻き起こる。
その煙を破り、キリンレンジャーが゙光影速゙を使って腕を登っていく。


「大きくなった分、動きはトロいわね!」


気伝獸が使えない今、このまま斃すしかない。キリンレンジャーは頭部まで辿り着くと、朱雀釵を突き刺した。


「゙光連弾!゙」






゙ドドドドッ!゙



内部へ直接撃ち込む。更に、下からシシレンジャーが゙氷柱結界゙でジゲンΩを囲み、動きを封じた。


「正夫!」


「うん!」



キリンレンジャーも降下し、2人は気を練る。


『破ァァッ!!』


気功波を撃ち、2発を束ねる。゙気力バースドには及ばないが、合わさった威力は強力である。
氷の檻が突き抜けられ、直撃した事で砕けていく。しかし、ジゲンΩは無傷で残ったままだった。


「こんなの効かないわ。」

眼が輝き、赤い光線が放たれる。


「う………」


「逃げんのよ!」



2人が走りだす。光線をギリギリ避けているもの、爆発が強く熱が伝わってくる。


「うひぃぃぃッ!」


「ちょ………ヤバすぎ……」


遥か上空から降るビームが、2人を狙い撃つ。更に、拳が振り下ろされ、地面が砕かれてしまう。


『わあぁぁァァッ!!』


2人は体勢を崩し、抉れた地面に脚を奪われ転んでしまう。
その間にジゲンΩの眼には赤い光が灯っており、今にもビームが放たれそうになっていた。


「ちょ………町子ちゃん、゙時間返じを!」


「無理よ!気力を集中できない!!」










゙ドヴッ!!゙










ビームが放たれ、2人に迫っていく。慌てる2人だが、避ける暇も気力を集中する間もない。



『うわぁァァッ!!』












゙キュイイィィィンッ!!!゙








『……………!?』



ビームが途中で止まった。いや、2人の前に浮游しているものが進行を止めているのだ。
それは良く見慣れているもので、6本の短刀が円陣を組んでバリアを発生させていたのである。


「クジャクビット!?」


「ってことは………優美ちゃん?」


キリンレンジャーの察しの通り、クジャクレンジャーがいた。


「町子ちゃん、正夫君!」


走ってくるクジャクレンジャー。しかし、すぐにクジャクビットへ気力を注ぐ。
やはり、巨大なだけあって威力も強い。しかも、照射され続けているため、弾ききれない。


「僕らも手伝うよ!」


シシレンジャーとキリンレンジャーも気力を上乗せさせて、バリアを強化させる。
だが、ジリジリとクジャクビットが押されていく。


「ぐ…………」


ビギビキとヒビが入っていき、バリアは今にも砕けそうだった。


「これならどう?」


一度ビームを止め、ジゲンΩが拳を振り下ろしバリアを叩く。
更に、歳大出力のビームを放ち、グンッと押しつける。





゙ピキピギ




「だ、ダメ…………」



゙パリィィィンッ!!゙









゙ドゥヴォォッ!!゙





バリアが破れ、赤い光線が地面へ突き刺さる。その衝撃で、付近にある国会議事堂へヒビが入っていく。



「フフ…………キャハハハッ!!。みんな、粉々!キャハハハッ!!」


ジゲンΩの内部で笑うピケル。無邪気なものとは違い、完全に邪魔者を消したという程に邪の笑いを浮かべている。


「思ったより呆気なかったな…………まあ、少しは楽しめ………ん?」



煙が晴れると、そこには3人が立っていた。しかも、その中心にはキリンレンジャーがおり、太陽の色であるオレンジの光を放っていた。
連結した朱雀釵を左手に握り、外気の気力を吸収し、右手に流していく。
右の掌には溢れる程の気力が充満しており、スパークしている。
どうやら、あれがビームをかき消したらしい。つまり、それ以上の威力を誇っている事を意味している。

「そ、そんな………」


ピケルには理解できなかった。この巨大なジゲンΩのビームは、次元獸を斃すだけの威力はあるはず。
対して、キリンレンジャーの周りはスパークの余波だけでも鉄クズが浮き上がってきている。


「………誰もいなきゃ使えない………瞬光星の奥義、思ったよりヤバそう…………」



黄色と橙の天宝来来の玉が輝き、キリンレンジャーは奥義の名を叫ぶ。


「瞬光星奥義・゙閃雀光彩陽!!゙」







゙ドゥヴゥゥッッ!!゙




掌から放たれた巨大な閃光。それはまるで津波のように大きく、ジゲンΩへ向かっていく。
反撃にとビームを放つが、゙閃雀光彩陽゙に飲まれ、直撃をする。
瞬く間に腰から上が吹き飛び、ジゲンΩは下半身を残して消滅していた。