凱が叫んでしまう。千切れたラインから、エネルギーが凱を中継に、各駆動部分へ伝わっていく。






゙ピュイン…………ポポン゙




「!?。エネルギー、機動可能にまで回復しましたよ!!」


「よし!」


レバーを右に動かし、グレートイカロスは振り下ろされた剣を避けた。


「ムッ!まだ動けたか………ならば………」


翼を広げ、゙フェザースパークズを放とうとしている。立ち上がった瞬間、グレートイカロスは撃たれてしまう。


「くらえ!」









゙ピッ!゙







゙ビビビビ!!゙









ベロニカのコクピット内部、しかもトランザの部分のみに電撃が走る。
そればフェザースパークズの発射に使うエネルギーが逆流したからである。

「うわッ!こ、これはいったい………」


突然の事に混乱するトランザ。整備不良でもあったのだろうか。


「トランザ………覚悟ッ!」


「!?」


その声に驚き、顔を上げる。すると、そこには一点を見つめて目を充血させたラディゲが立っていた。
ブラッディゲートを振り、トランザはギリギリで反応して避ける。


「あああぁぁァァッ!!」


「ぐ………」


2人は揉み合いながらコクピットを出ていく。この場での造反劇に、マリアとグレイも戸惑っていた。


「グレイ、ラディゲは………」


「我々は戦いの最中だ。どちらが戻ってきてもいいように、目の前の戦いに集中する方がいい。」


グレイの言う通りだった。ラディゲが戻ってきても、トランザが戻ってきても、下手に敗けた方に加算したら命があるかわからない。


「では、我々はコクピットを修理し、ベロニカを動かせるようにしておこう。」

「…………ええ。」














ベロニカが動かなくなった。その隙に、竜は中々戻ってこない凱の様子を見に行く。
すると、体から煙を立たせた凱が力なく座り込んでいた。


「凱!」


「お、おう竜………サブエネルギーに切り替わったぜ………」


「お前………」


竜は千切れたラインを見て、サブラインに換わるまでに何があったかを悟る。凱が身を張って、助けてくれていたのだ。


「無茶しやがって………」

「俺はいい……それより、ベロニカは?」


凱をコクピットまで連れていく竜。ジェフも監視をしていたが、1ミリも動いてはいないようだ。


「………ジェフ、ダンに通信を入れろ!。潜入して、捕まってる奴らを助け出すってな!」


「!?」


「今が乗り込むチャンスだ………」


動こうとする凱の肩を持ち、竜は口を開く。


「今度は俺が行く………」


凱の状態を見る限り、まだ回復しきってはいない。潜入して、戦える状態には見えないために止めた。


「……………ああ。任せたぜ。ジェフ、お前も行け………アコを助けるんだろ?」


「………はい!」



先行して出ていくジェフ。それを見て、竜も出ようとする。


「…………竜!」


呼び止められ、振り向く。


「この戦いが終わったら、一杯おごるぜ。」


「…………ああ。じゃあ、ホットミルクを頼む。」


「砂糖抜きでな………」


頷くと、竜は走っていく。そう、戦いに勝って、平和の中で友と盃を交わす。
それが、凱なりの勝利への誓いであった。
グレートイカロスから出て、竜とジェフはジャンプをする。



『クロスチェンジャー!!』



同じ頃、ジェットガルーダを出たダンも変身し、共にベロニカへ侵入したのだった。