応急処置ではあるが、修理が完了したグレートイカロス。次は、ダンのジェットガルーダと共にベロニカと対峙する。
レッドホーク達は待ち構えているベロニカを確認すると、機体出力を最大に高めた。


「凱、ジェフ、行くぞ!」

『了解!!』


対峙しているベロニカのコクピットでは、トランザが笑みを浮かべながら操縦幹を握っている。


「正義とは悲しいものだ…………例え敗けるとわかっていても、戦わなくてはならないのだからな。」


ベロニカは剣を構え、グレートイカロスに向かっていく。それに対し、ダンのジェットガルーダが胸部にエネルギーを集中させる。


「これをくらえ!」



黄色い閃光゙ガルーダバースドがベロニカに向かう。しかし、左腕から黒いシールドを発生させ、弾いてしまう。


「データより出力が上?。ほう………無茶をさせているようだな。」


トランザはジェットガルーダがリミッターを解除していることを見抜いた。
とはいえ、気伝獸の穴埋め程度でしかない。恐れるに値する力ではなく、存分に遊べるくらいだ。


「2機まとめて、くらうがいい!」


゙ダークレイズ゙か口から放たれ、グレートイカロスとジェットガルーダに命中する。
火花が散り、その隙にベロニカが接近し、剣でグレートイカロスを斬りつける。


「ぐ…………こいつゥッ!」


ブラックコンドルがレバーを押し出すと、バーニアが最大噴出し、ジャンプをする。
そのままハイパーハーケンへと変形し、先端下部からハイパービームで攻撃していく。






゙ドビュウ!!゙






シールドに命中し、弾かれてしまう。しかし、その隙に背後からジェットガルーダが両手のクローを向ける。


「ガルーダクロー!゙」


ジェットガルーダの両腕が交差し、ベロニカの背中を斬った。
装甲そのものが頑丈なために目立った破損はしないものの、火花が散ってコクピットへの衝撃が伝わる。


「ムッ!小癪な…………」

トランザがベロニカを反転させようとするが、ハイパーハーケンから変形しなおしたグレートイカロスが空中から腕を振る。
今、ベロニカは中間を向いている。これならば反応はできないはずである。


「貰ったッ!」


「…………ベロニカをナメるな!!」


翼を広げ、ベロニカの眼が輝き出す。そのまま全身のエネルギーをスパークさせ、一気に放出させた。


『うわァァッ!』


「があぁッッ!」




周囲のものが破壊され、グレートイカロス・ジェットガルーダは倒れてしまう。
中でも、竜達の変身が解けてしまった。



「クソ……」


「!?。竜さん、エネルギーラインに異常が発生してます!!」


「!?」


応急処置を施していたものだ。あれを繋がなければ、グレートイカロスは正常な起動をさせることができない。


「く…………俺が修理を……」


「待った!俺が行く!!」


凱が出口を出て、機関部へと走る。一大事に、体が先に出てしまう。
あのラインが、捕らえられている仲間たちとの絆と被り、いてもたってもいられなくなっていたのである。
現に、ベロニカはグレートイカロスを狙って接近してくる。このままでは、確実にやられる。
機関部に辿り着いた凱は、まず対消滅エンジンを見る。一応無事のようだ。
後ろにある制御室に入ると、やはり、エネルギーラインが千切れている。
時間的にも、修理はほぼ不可能と見ていいだろう。



「ち………」


残る方法は、エネルギーラインを緊急用サブラインに切り換えるしかない。
凱は急いでボタンを押し、切り換えていく。ただ、完全にシフトするまでの時間がかかってしまうのが厄介である。
本来は、単なるエネルギー供給不良の場合に使うシステムなため、ここまで損傷が激しい機体では尚更であった。
その間にも、ベロニカはグレートイカロスの真上に来ており、剣を突き立てている。


「これで終わりだ、ジェットマン!!」



竜とジェフは冷や汗しかなく、目の前にいる魔神に対しなすすべがない。
エネルギーゲインが稼働レベルにまで達してないのでは、回避行動すらとれない。


「凱、早くしてくれ!!」














制御室内部にいる凱も何となくベロニカが既に来ていることを感じており、間に合わないことを悟っていた。
一瞬苦い顔をするも、凱はエネルギーラインを持ち、千切れている方のラインも掴んだ。









゙ビビビッッ!!゙








「うわあァァァッッッ!!!」