捕らわれたアコや仲間、人々を救う。もう、自分達の世界の二の舞にはさせない。


「そうだ………俺が………」


「ダン!!」


「!?。ジェフ…………」

コクピットから降り、ジェフの前に立つ。顔つきが違う。それがわかると、ダンは拳を握り、殴りかかった。
それを受け止めるジェフ。ジーンッ、と伝わる痛み。

「俺が助ける………アコ先輩も、みんなも………」


「………俺達は出会ったばかりで゙親友゙ってわけじゃあねえ………でもよ………」

拳から伝わったダンの言葉。自分に無力感を味会わせたくなかったんだ。絶望してほしくなかったんだ。
あの時の自分は絶望し、半ば諦めていた。それを感じたダンは殴ったのだ。
しっかりしろ、お前の世界はお前が守れ…………と。


「ああ。俺達ば親友゙じゃない。でも…………一緒に戦ゔ戦友゙だ………。力を合わせて、みんなを助けよう!!」


ジェフの言葉に頷くダン。友になるのに時間はいらない。それが、まだ少年と呼べる彼らの特権。
2人は拳同士を合わせ、改めて戦いへの意思を固めるのだった。













「グハァッ!!」


トランザに顔を蹴られるラディゲ。先程の無防備状態をさらけ出し、一時的に機体に不具合を出したのを咎められている。
それだけでは手を出したりはしない。しかし、ラディゲは一向に話そうとはしない。それが余計に勘にさわり、トランザを激昂させていた。


「どういうつもりだ!」


「…………………」


ラディゲはトランザを睨みつける。そこで悟るのは容易かった。
自分が斃すつもりのジェットマンやダイレンジャーキッズが、他の誰かに斃されるのが嫌なのだ。


「ククク…………まあいい。ベロニカの手で確実にジェットマンを斃し、ダイレンジャーも他の幹部が駆逐するだろう。お前の出る幕などない……」


自分が懲罰を下さずとも、ラディゲには獲物を狩られる悔しさを与えれば、相当苦しむはず。
それが一番の罰になる………余裕のトランザは高笑いをしながら去っていった。
姿が見えなくなるまでになると、ラディゲは手からあるものを取り出した。


「ジェットマンは俺の獲物……………トランザ、今に見ていろ………」


















ベロニカ内部。そこでは、触手に巻かれた人々が呻き、苦しんでいた。
その中には先程の戦いで捕まってしまった香・アコ・雷太もいる。


「何なのこれ………力が抜けてく………」


それほど急速に生命力が吸いとられないが、ジワジワと力が抜けるのを感じさせられる。


「う…………おおぉォッッ!!」


雷太は力の限り体を起こし、何とか逃れようとする。自分だけでも放れれば、変身してみんなを助けることが出来るからだ。







゙バッ!゙






「!?。」


触手を振りほどきかけるが、黒い手が壁から出現して再び引き寄せる。
ジェットマンだけではない。無論、他にも捕まっている人も逃げ出そうともがいているが、同様に黒い手によって引き戻されてしまう。


「うう………苦しいよ……………怖いよ……ママ……」


少女・美紀は苦痛はもちろんだが、ベロニカ体内に捕らえられてる人の中で最年少だけあり、恐怖心は一番であった。
暗く、重い空間で徐々に体力が奪われていく。美紀は、自分の体を闇が蝕んでいく感覚を覚えていたが、言葉には表すことを知らない。
ただ、泣くことしか恐怖を伝える術はない。



「大丈夫ですわ。」


「!?」



美紀に話しかけたのは香であった。苦痛を抑え、優しい顔を向けている。


「ジェットマンとダイレンジャーが、きっと助けてくれる…………だから、ちょっとだけ我慢しましょう。」



「本当?あたし………助かる?」



「ええ。」


本の少しだが、美紀の顔に希望が戻ったことが現れる。また、香自身も言い聞かせるように言っていたのだ。



(お願い………竜、凱、ジェフさん………キッズのみんな………)