年が明け、キッズ達は3学期を迎えていた。゙ジェットマンの世界゙における嘉挧が、虞翻から伝えられたメッセージ。




゙世界に変化が生じはじめたぞ。空が青くなっていくわい。゙



ダイレンジャー・ゴーマ・バイラムの三つ巴によって、コウ達の世界は崩壊した。
空は紅く染まり、生き残った人々も希望を失っていた。しかし、時期としてはジューザが斃された時から、空は青く戻っていったという。
世界が再生を始めたようだ。この話を聞いて、キッズ達の誰もが゙ジェットマンの世界゙との別れを予感していた。
















゙カンッ、カンッ!゙






公園で空き缶を蹴り飛ばしている健一。その表情はどこか暗い。
別に気落ちしてるわけでも、ムシャクシャしているわけではない。


「どうしたんだよ?」


ジャングルジムの天辺からコウが尋ねる。視線が一瞬コウに移ると、健一は缶を拾う。


「俺達、世界を戻してきて、もうすぐ帰るんだよな。」


「………そうだなぁ。もうちょいでな。」


割と軽く言うコウ。それを聞くと、健一は空き缶をゴミ箱の方へ投げた。
カランッ、と見事に入る。今度はきちんと、コウを見て口を開いた。


「俺さ、初めは早く帰りたいって思ってたんだよな。」


「それはあたし達だって一緒だよ。」


肉まんを買ってきた町子が割り込んでくる。


「この世界はあたし達の世界じゃない。…………そう思ってたんだけど…………」


聞かなくたって、言いたいことはわかる。健一と町子だけではなく、キッズ達はこの世界に愛着を持っていた。
あまりにも似ていて、ジェットマンのメンバーとも戦友以上の絆が芽生えている。
家族や友達との思い出も、決して偽物ではない。


「…………それでも、僕達はこの世界の僕達じゃない。この体は、借りてるわけだから返さないと。」


前回の戦いで学んだ。人はどこまでいっても、1人の存在なのだ。
誰でもない、自分という個。それは、自分達がこの世界にいてはいけないことを表す。


「こっちの世界の僕は、僕らとは違う。だから、僕らは元の僕らに戻らないとね。」


『コウ………』


自分達の世界では、待っている人がたくさんいる。こちらの世界で会った人との出会いも大切であるが、それにしがみついているわけにはいかない。


「そうよね。あたしも、きちんと自分の豆腐を、自分のお父ちゃんから教わらないと。」


町子は袋から肉まんを取りだし、分けていく。何かわかった気がしてきた。
自分と同じように、この世界の自分も親を愛し、愛されてきて、豆腐造りに誇りを持っていた。
きっと、夢は同じ。自分だけが叶えるわけにはいかない。それに、叶える場所はここではないのだ。


「そうだよな………ん?」



゙ビビビッ、ビビビッ!!゙


3人のオーラチェンジャーが鳴る。それを口元に近づけ、回線を繋げる。


「コウ君、みんな、聞こえる?」


その声は由貴のものであった。


「どうしたの?。もう、公園に来て…………」


「そのことなんだけど、あたし達は急いでスカイキャンプに集まって欲しいって連絡があったの!」


『え!?』