こういう時こそ、一層体勢を整える必要がある。苦しいのは今だけと考え、戦いに集中すべき………。


「そうだけど…………でも、あたしの…………!?。そ、そうだ。長官、これ、使ってみてください。」



話をそらすために、゙ラブりっしゅ゙を取り出す。綾はヒョイと持つと、ぐるりと見ている。


「これは?」


「それ、魅力を高めて人に愛されるようになる香水なんです!。使ってみてください!!」





゙ラブりっしゅ゙を渡すと、アコはその場を後にした。これ以上いても、色々お説教を貰うしかないのは明白だったからである。
そんなアコに呆れながらも、せっかく渡された香水なので、振りかけてみた……………。














レコーディング会社に到着し、アコは金成と打ち合わせをしていた。
今後のスケジュールは卒業前なので、ある程度余裕を持たせているものの、かなりのイベントや出演番組がある。


「じゃあ、4日後の終業式が終わったら、すぐに放送ですか?。」


「はい。ちよっとキツイですが……………。」



「いえ、大丈夫です。」



今日も1本出演がある。それも生放送だ。アコはこういったのが多い。
年末なので特番が多いからか、生放送ばかりの出演だ。


「じゃあ、着替えてください。」


「はい!」



更衣室に向かったアコ。制服を脱ぎ、衣装に着替える。あとはメイクを済ませば…………。



゙ブブブ、ブブブ゙



携帯のバイブ音が響く。これから撮影だというのに、誰からだろうか。


「京子?」


親友の京子からの電話。本番は近いが、最近は元気がないようだったし、出た方が良さそうだ。




「…………もしもし。」


「アコ、今は大丈夫?」


「撮影前だけど、まだ大丈夫。聞いてね、あたしの歌!」


同じく歌を夢にしている京子には、是非聞いてほしい。


「今日、元気なかったみたいだけど、あたしの歌で元気になって!」


「…………そのことなんだけど………」


「?」


「歌、上手いと思うよ。でも、アコの歌ってあういうのだっけ………」


「??。それって、どういう…………」



゙ガチャ゙



「アコさん、メイクしますのでルームに来てください!」


「!?。ごめん、京子また後で!!」



携帯電話を切り、メイクをしに向かう。だが、アコには気がかりだった。
゙自分の歌゙。京子はそう言った。果たして、どんな意味を持っているのだろう………。


















終業式を終えた。生徒達はカラオケに行ったり、プレゼントを買いに行く予定を立てている。
なぜなら、今日は12月24日・クリスマスイブなのだ。友達と、家族と、人それぞれの過ごし方があるが、どれもが楽しいものである。
従来の環境なら、自分も友達とカラオケに行ったりしていたが、今日も番組に出演しなければならないため、参加できない。
ジェットマンとして戦ってきたので、その辺は慣れている。自分の楽しさより、もっと他の多くの人に自分の歌で明るくなってもらえれば、その方がいい。