バイロック全体を思い出す。何か、心臓を隠してそうな場所。


「……………もしかして、あの動力炉………」



リュウレンジャーの発言に戦士達の答えは合致した。あのプレートはブラフで、相手を寄せ付けない事が目的。


「ジューザの気がバイロック全体からしているような感覚…………多分、動力炉ってのも嘘じゃないよ。」


ホウオウレンジャーも気づいた。バイロックの動力炉、それこそがジューザの心臓。
確かに、何度も仮そめの肉体を復活させるだけの生命力とパワーがあれば、次元を移動する要塞の機関部としては最適だ。


「そうやって、ラディゲ達の目も盗んでいたんだろう。」


「でも、この部屋から出ないと!」


ジューザの部屋と言っている以上、ここはバイロックの中だろう。ならば、出るための場所が必ずあるはず。


「こういう時こそ、ビークスマッシャー・メモリージングモード!」


レッドホークはビークスマッシャーを撃つ。メモリージングモードとは、ビークスマッシャーが一度記録した熱源を追跡するシステムである。
これを使い、ラディゲの熱反応を追跡させる。それは暗闇の中で、ある部分に達すると光弾が消えてしまう。


「あそこだ!あそこが出口だ!!」



一斉にそこへ向かう戦士達。ジューザはそれを見て、心臓の在処に気づかれたと察知した。


「奴ら………気づきおったか!」


こうしてはいられない。何としてでも、キッズとジェットマンを斃さなければ。
瞬間移動で戦士達の前方に回る。続いて、すべての触手に゙ケイオスストリーム゙を放たせた。


「グワッ!」


「キャァッ!」



ブラックコンドルとホワイトスワンが受け、撃ち落とされてしまう。
光を掻い潜り、せめて、誰か一人でも行かせようと、レッドホークとテンマレンジャーはジューザに飛びかかった。


「何!?」


「これなら゙ケイオスストリーム゙は使えまい!!」

確かに、強力な一撃であれば、自身に向けて放てば、多大なダメージを受けてしまう。
また、自分が攻撃を受けなくても済む。


「ククク、甘いな!」


触手の口がレッドホークとテンマレンジャーに噛みつく。


「痛ッ!」


「うわッ!!」


「零距離ならば、どうかな?」















ジューザを避けて通れたのはリュウレンジャー・キリンレンジャー・ホウオウレンジャーのみ。出口は、すぐそこにある。


「あそこだ!。……………゙吼牙一閃!!゙」



白虎真剣から斬撃を放ち、壁を破壊した。そこから、先程通っていたバイロックの通路が見える。


「あれだわ!」



盾になった仲間のために、何としても出なければならない。リュウレンジャーは振り返り、白虎真剣に気を溜める。


「由貴ちゃん、町子ちゃん、行って!」


『…………うん!!』



2人は出口に走っていく。リュウレンジャーはジューザの方へと走っていく。その音が刃に吸収され、研ぎ澄まされていく。


「吼新星・゙音鳴斬…………空牙!!゙」



技の発動と共にジャンプし、白虎真剣を振り下ろす。
見事に袈裟から下までを斬り、続いて、逆袈裟斬りをする。


「グハァッ!!」


「よし!」


「…………ガアアッ!!」


蜥蜴のような口が開き、拡散する光線を放つジューザ。リュウレンジャーはそれを受けて吹き飛ばされてしまう。


「うわ………」


しかし、ホウオウレンジャー達は出口へと足をかけている。何とか、役目は果たせた。