「嘘…………でしょ……」



触手の生え際から後ろ、つまり、本体が触手から生えてきた。
まるで無から再生していくように、肉体が形成されていく。やがては、ジューザが邪神形態となって、完全修復されていた。


「そんな………」


キリンレンジャーは何がなんだか、理解が出来なかった。ただ、ジューザの再生能力が高いため、という次元の問題でないことは誰もがわかっていた。


「フフフ。驚いているようだな………。」


「どうやって………」


完全に消滅させたはず。少なくとも、゙ファイヤーバズーガを受けた段階では、ジューザの消滅は確定していた。


「なのに………」


「やっぱり………アイツには命がないんだ……」



「健一?」


意味深なテンマレンジャーの言葉。リュウレンジャーは、それと似たような感覚を覚えてるせいか、余計に気になっていた。


「どういう意味?」


「さっぎ電光コークスクリューブロー゙を打ち込んだ時に、心臓の鼓動がなかったんだ………」


『!!!??』


命がない、心臓がない。つまり、そこから導き出される答えは…………。


「テンマレンジャー、お前の言う通りだ。私は、自分の体と心臓を分けている。心臓こそが私の本体…………ゆえに、私は何度だろうと復活できる。」


ジューザの発言によって、戦士達を絶望が襲った。復活できた理由、再生できる理由、それらの解明がされた今、斃す手段は1つ。












ーーーーージューザの心臓を破壊することーーーーー











しかし、それは出来ない。心臓を見つけなければならないのだから。
それまで、幾ら斃そうとも復活されたのでは、勝てるとは考えられない。


「そう、お前達が勝つ可能性など、最初から無かったのだ!!」


シュッ、と消えるジューザ。探している内に、二大戦隊の中心に現れた。


「く…………」


「ズアアァァッッ!!」


触手が戦士達に襲いかかる。追いかけては斃され、そして再生して追いかける。その繰り返しが行われる。


「うわ…………防ぎきれない………」


弱音を吐いているシシレンジャー。当然といえば当然だ。勝てる可能性を奪われたのだ。
反応も鈍くなり、頭の中は恐怖でいっぱいになっている。
そうしてる内に、背後には触手が配置されていて、深紅の光が放たれた。

「う、うわあああぁぁッッ!!」













ブルースワローとイエローオウルはビークスマッシャーで触手を撃ち落とす。
しかし、それだけしか出来ない。例え何度倒そうとも、復活されるという事が頭に浮かび、思考することを停止させる。


「アコさん………やっぱ………」


「言うな雷太、言わないで!」




諦めと意地。2つの考えが頭の中で交差する。



「鬱陶しいのぉ。」


『!?』


瞬間移動で背後に回られ、爪と触手から伝わる゙ブレイズインパクドで2人の意識は飛んだ。













「竜、雷太さんとアコさんが………」


あっという間に4人がやられてしまった。とはいっても、斃せないと知り、戦う気など起きなくなってしまう。


「せめて、心臓の場所がわかれば………」


そう。心臓さえ破壊すれば、ジューザは再生できなくなる。斃すことだって出来る。だが、回りにありそうもない。


「どこなんだ………。」


考える戦士達。触手を防ぎながら、心臓の在処を推察する。