それが氷を砕きながらジューザの左胸を直撃した。ググッと食い込む拳から流れる電流が、一気に注がれる。


「グオォォッ!!」


女性には似合わない声を出したジューザ。更に拳を食い込ませるテンマレンジャー。


「…………ん?」


何かがおかしい。



「…………ごのォ!」



弾かれるテンマレンジャー。一瞬気を抜いてしまったようだ。だが、不思議なのだ。
見たところ、ジューザは自分達と同じ体の構造。なのに、何かが足りない。



「いや、そんなわけ………」


「健一、ボサッとすんなよ!」


「あ、ああ………」


リュウレンジャーと共に、再びテンマレンジャーはジューザへと向かっていく。


「天重星・゙重力逆転波!!゙」


テンマレンジャーが重力波を放ち、ジューザの動きを鈍らせる。


「霜氷星・゙凍愁吹雪!!゙」


「゙孔雀結界゙!!」


更に、氷とクジャクビットによって、完封を果たす。



「貴様ら………ただで済むと思……………………!!?」



ジェットマンがジューザの前にいて、ハイパーハーケンからジェットストライカーを呼び出した。


「な…………」


このままではやられる。邪神形態になろうと、力を込めていく。


「させるかぁッ!」



「!!?」



上空にはリュウレンジャー。白虎真剣には白い閃光が見える。



「゙吼牙…………………一閃!!゙」





゙ズドゥッ!!゙







鎖骨から右脇腹までをズバッと斬る。血が噴き出すジューザ。リュウレンジャーはすぐに離れ、ジェットマン達はパワーを一点に集中させた。


「゙ファイヤーバズーガ……………」


『ファイヤー!!!!!』



撃ち出されたプラズマブレッドは、燃える鳥の形状をしながらジューザへと直撃した。
爆発によって周囲の彫刻や柱は次々と砕けていき、炎は燃え続けている。


「や、やった…………やったぞ!」


炎の中には何もない。レッドホークの言葉通り、ジューザは消滅したのである。
皆、ダメージをそれほど受けていないのは、ジューザの油断と短期決戦を心がけた賜物と言える。


「これで、みんなは元に戻るね。ん?。コウ、どうかした?」


キリンレンジャーは、喜ばないリュウレンジャーが気になった。一番斃したがっていて、目の前で消滅させたというのに。


「違う…………」


「え?」


「こんな…………呆気ないわけない…………」


「だって、現にジューザは…………」







゙ビッ!!゙










゙ドゥゥオオオオンンッッ!!゙









何かが光ったと思えば、爆発が起きた。その方向を見ると、転身が解けた状態で倒れている優美の姿があった。


「あ…………う…………」



「ゆ………………」




近くにいたシシレンジャーが駆け寄るも前に、ホウオウレンジャーが気を注ぐ。


「意識はある………優美ちゃんは大丈夫!」



一先ず安堵する戦士達。だが、安心は出来ない。この強さと速さ、そして邪悪さ。
明らかに、奴だ。ブラックコンドルがすぐにバードブラスターを撃つ。先には、すぐにジューザがいるはず。



「ジューザ、どうやっ……………え?」



゙ファイヤーバズーガの炎も消え、その全容が明らかになった。
何と、そこにいたのは触手のみであった。


「ジューザが死んでも、触手独自の意識がありやがるってのか?」


それなら、良かったのだろう。そうであってほしいと、望みたい。しかし、戦士達の眼には、そんな願いを打ち砕く瞬間が刻まれていた。