それでも、友達を危険に晒すわけにはいかない。力がある自分がやるべきことで、自分でなければできないことなのだ。
さっきも助けてはもらったが、だからと言って、甘えれるようなものではない。


「だから………気持ち………」



「アァァッ!。コウ!!」


健一が立ち上がり、拳を突き出す。コウは驚くものの、眼前で拳は止まった。


「こうやって、拳が前に来たら怖いだろ?。でもさ、それでもやらなくちゃいけないことがある。」


「健一………」


由貴の話しに乗じたのだろう。枷が外れたかのように、心の内を出していく。


「お前の強さは俺達の拳だ。俺だって、ううん、俺達だって、お前の拳になりてぇッ!!」


ずっと憧れてたんだ。誰かのために戦うヒーローに。ずっとなりたかったんだ。誰かを護るヒーローに。
本当は、その力が欲しいんだ。その、強い力と心が。


「………戦隊なのに、1人じゃ成り立たないよな。」


コウも拳を突き出し、健一の拳とぶつける。ニヤリとする2人の拳に、由貴は自分の手を乗せる。
正夫と町子も、その流れで内にある思いを沸き起こし、手を合わせる。


「僕らは今日から、もう一つのダイレンジャー………………そう、ダイレンジャーキッズだ!!」



『おうッッ!!』



ここに、子供達だけのダイレンジャー………ダイレンジャーキッズが誕生したのである。
一通りの件を見て、白虎真剣は呟く。


「………マジか?」






















「きゃあああ。誰か助けてー(棒)」



コウ達のクラスメイトである、お姫様カットの梨花。怪人・バスバスガイドによって、さらわれようとしている。


「大変だぁ。梨花ちゃんがさらわれちゃう(棒)。」


「どうすればいいんだぁ(棒)。」



「ヌハハハハハ!!。俺が連れてってやる…………地獄になぁ………」


バスバスガイドの目的は、子供を地獄に連れ去り、幽霊怪人に改造することである。
果たして、子供達はこのまま改造されてしまうのか………。


「待てぇッ!」


「ムゥッ!。誰だ!!」


響き渡る声。光と共に、5つの影が現れた。


「貴様らは!?」


5人は力を込め、それぞれに名乗る。



「天火星・リュウレンジャー!!」


「天幻星・シシレンジャー!!」


「天重星・テンマレンジャー!!」


「天時星・キリンレンジャー!!」


「天風星・ホウオウレンジャー!!」


「天に輝く、5つ星!!!」


『五星戦隊………ダイレンジャー!!!!!』



バッチしと決まった。



「ハァァイィィッ、カァァァッットッ!!」



その声と同時に、全員の緊張が解け、姿勢を崩す。バスバスガイドの着ぐるみをきていた先生も、脱いでタオルで汗を拭いている。
制作総指揮をとっている映画研究家である和也。メガホンで、今の場所までの評価を下していく。


「梨花ちゃん達は棒読みすぎ!もっと、気持ちを込めて!!。コウ達も、ダイレンジャーのポーズを更にテンポ良く!!。先生、もっと悪人らしく!!」



ダメ出しをする和也。梨花達はともかく、コウ達としては一生懸命再現しているつもりではあるが………。


「それにしても、先生ノリノリだよね。」


反対していた先生も、参加となれば一変。まあ、いつもは叱るはずの先生を倒せるということで、子供達としても嬉しいところ。